Tuesday, April 26, 2011

世の中わからないことだらけ

火曜日。


・昼休みに、先学期受講したマーケティングの期末試験の結果が閲覧できるとのことだったので行ってみた。
が、答案の一枚目の右上に点数がちょろっと書いてあるだけで、何がどう良くて何がどう駄目なのかコメントはまったくなし。
自分の点数が相対的にどんなものかもよくわからず。
(自分の答案を見つける過程で、自分より上にあった十数名の答案が目に入ったが、パッと見平均点くらい)。
そもそもこの科目、宿題やら何やらで、期末試験のウェイトはたったの30%。残り7割がどのように採点されたかもほとんどわからない以上、なんというかわざわざ点数を見に来てはみたもののあまり有益な情報は得られなかったような。よくわからん。


・午後一発目はInternational Financeの授業。こないだまで金利パリティとかPPPとかそういう理屈っぽい話をしていたと思ったら、なぜか今日はValuationのケース。以下、「国際金融の観点から見た論点」とその感想:

- 全部現地通貨建てでValuationして最後にドル換算するか、逐一ドル換算してからValuationするか。
逐一やる場合は、為替先物があるならリスクプレミアムなしで先物レートを利用して、先物がない場合はリスクプレミアムを乗せた上で毎年期待レートで評価してやること
(←後者はあまりに面倒に聞こえた。毎年の先物レートを取ったり、為替リスクプレミアムを推計したりしてたらあっという間に日が暮れそう)

- 為替リスクやカントリーリスクといった国際金融ならではのリスクは、基本的にすべてUnsystematic Riskであり、リスクは考慮しないこと。ただし分子のCFを期待値ベースに書き換えるのはアリ
(←一般論としてUnsystematic Risksを考慮しないというのは分散投資の考え方により理解できるんだけど、それにしても、このCAPM的な考え方って、分散投資ができていない投資家はそのまんま使っていいのかしら?
そもそも世界の機関投資家のうち、実際にUnsystematic Riskを極小化させた上で投資しているところなんてほとんどないのではないのか?
企業がM&Aや投資をするときのリスクはCAPMで計算できるとファイナンスの教授は言っていた。しかし、一般的な事業会社がマーケットポートフォリオを保有しておりUnsystematic Riskを有していないなんてことはありえない。であれば、「リスクはSystematic Riskだけですよ」というCAPM的リスクプレミアムは、そういった事業会社が使うための割引率としては低すぎる(リスク考慮が過小)のではないか...?)

特に最後のUnsystematic Riskの論点が引っかかっている。たとえばGoogleがGrouponに投資するなんてとき、ベータだけ見て「割引率は10%で、その結果DCFは6億ドルです」というロジックは許されるのだろうか?あるいはComparableでもいいが、単に似た案件を探してきてマルチプルをドンと掛けてしまっていいのだろうか?
Googleのバランスシートを見てないから確信しているわけではないが、Googleは投資会社ではなく、その資産構成は効率的(Unsystematic Risksが分散の結果皆無)とは言えないだろう。であれば、流動性リスク・為替リスク・カントリーリスク等々、あらゆるリスクをプレミアムとして10%に上乗せして考えなくてはならないのではないか(Unsystematicだから無視してオッケーとはならないのではないか)。
もちろん多くの投資主体はこうしたリスクを承知していて、何かしらの方法で考慮を試みているいるとは思う。IB出身のクラスメートによれば、CAPMに流動性プレミアムを加算するという技はよく使ったとのことであった。
しかし、であったとしても、リスクのプライシングは決して容易ではない。計算が困難というよりも、市場性がない(のでミスプライシング是正のメカニズムがうまく機能しないと思われる)からだ。
であれば、VC・PE・M&Aといった市場性の低い投資案件においては、かなりの程度ミスプライシングが発生しているのではないだろうか。よくありそうなのが、リスクの考慮が足りず、結果的に低い割引率で案件を考慮してしまい、割高な評価をしてしまう(=高値掴みをしてしまう)というミス。
まあでも、どこかに「正しい価格」があり、取引価格がそこからずれているかもしれないという思考回路それ自体がずれているのかもしれないが。1円単位で正しい必要などなく、なんとなくリーズナブルな価格で投資してそれなりの価格で売却できればそれでオッケーくらいの感じでいいのかも??

授業中に同様の質問をした生徒がいたところまでは自分もキャッチアップしていたのだが、教授が、おそらく適当にごまかしたのではないかと推察するのだが、すごい早口で何かまくしたてて「はい、おしまい」としてしまったのでよくわからないまま終わってしまった。明日にでもフォローアップしてみようとは思っているが、教授もTAもあまり質問に対して親切ではないのが気がかり。

マーケティングの結果もよくわからなかったが、いやほんとに、世の中わからないことだらけ。
おかげで夜も眠れない。昼寝なんかしなきゃよかったな(昼寝したから眠れないのか...)

(追記:2011/9/28)
Valuationの授業にて教授に直接質問して解決した。
・もちろん効率的なポートフォリオを持っている人など誰もいない
・我々が求める価格は、その人や企業にとっての価格ではない。効率的なマーケットにおける価格だ。
→リンゴや車の価格も、言われてみれば、自分にとっての価値なんかに関係なく社会全体の需要と供給(とのその他諸々)によって決まっている。それと同じような理屈ということみたい。
→でも、なんというか釈然としないところが残っている。たとえばシナジーの計算なんて、自分にとってのシナジー以外計算しようがないし。自分から見たシナジーをマーケットの評価にさらすって意味わからんような。。