Wednesday, April 27, 2011

目指せ聞き上手

水曜日。思う存分寝坊して、午前中にたまった雑事をこなして、午後から図書館に山籠もりして。
夜には焼肉食べて栄養もつけた。これで明日の中間試験の準備は万全、かしら。


・昨日気になっていたCAPMの話について、TA(PhD1年生)に突撃してみた。つれない反応を予想していたが、思いがけず対応は良かった。というか良すぎて、「面白いので、ちょっと自分としてもじっくり考えた上で丁寧に答えてみたい。またお前の中間試験やら宿題やらの採点もあるので、少し時間をくれ」とちょっと重たい展開になってしまった。まあそれはそれとして、派遣元で関連する仕事に携わっている友人に実務的観点からコメントをもらったりしたので、なんとなくイメージもできつつある。また、TAからはあわせて「●●教授の授業は、お前の問題意識に近いところをテーマにしているから、是非受講してみるといい」というコメントももらえたので、来学期の履修科目の有力候補として覚えておきたい。


・今回のTAの件もそうだが、ここ最近急に「個人的に人に話を聞きに行く」と言う機会が重なった。
(もちろん、就職活動を真面目にやっている学生の2%くらいの頻度でしかないのだが…)
そのことと最近マイブームの組織論が自分の中でフュージョンして(?)、また一つ気になることができたのでメモしておく。

どうも、自分のインタビュー手法に疑念を抱くようになってきた。

自分はこれまでの仕事を通じてそこそこの回数インタビュー(あるいはヒアリング)をこなしてきた。金融機関に余資運用方針を聞きに行ったり、企業に景況感などを聞きに行ったり、取引先に財務諸表や投資計画について質問しに行ったり。全国津々浦々、社長さんから大学教授から、色々突撃した。
そのプロセスを通じての経験則・折々の上司の示唆・同僚の手法の見よう見まねなどを通じ、自分は以下のような方法論が有効であると考えるようになり、少なくとも過去数年はそれを実践してきた。

1. 新聞やネットで拾える情報はすべて頭に入れてから訪問する。相手のニーズや困っている点が何か、自分が提供できそうなものは何かなど頭の整理をしておく。
2. 調べればわかる質問は、「最初のとっかかり」とか「聞くと相手が喜びそう」とか、何か別の目的がない限りしない。時間の無駄だし、相手が気分を害することも。
3. 早い段階で、自分が被質問者のことを熟知していることを何らかの方法で明示的暗示的に伝える
4. 相手が納得感を持つことができるよう、インタビューの目的が何で、具体的にどのようなことを聞きたいのかといった大枠について最初に説明する
5. 可能な限り予めストーリー、仮説を組み立てておく。インタビューの際には積極的にその仮説をぶつける
6. 結果として、自分のヒアリングメモは、「事前リサーチの結果、XXXのようなことが予想されていたが、やっぱりその通りだった」とか「予想に反してYYYであった」というようなストーリーになる

逆に、かつての同僚たちに普及していた、以下のようなインタビュー手法を「なんだかなぁ」と思っていた:

1. 忙しいこともあり、準備はそこそこに
2. 上司、あるいは自分が作ったきわめて定型的な質問票をもとに質問する。公開されているかどうかは準備が足りないのでよくわからない。
3. インタビューの目的などを問われても、下手したら目的がなかったりするので、一般的な「景況調査」とか何とか言って基本的にはごまかす
4. 当然、事前に用意された仮説などはないので、出来合いの質問票に書かれた質問を機械的に尋ねる。その企業になじまない質問もお構いなしに質問する(中小企業に対して、社債市場の動向について聞くとか)
5. 結果としてできあがるメモは、出来合いの質問票に対する忠実に回答したものとなる。ストーリー性はない。

これまでは、"オレ流"の方が絶対的に優れていると疑念を持っていなかった。しかし、組織論で教わった考え方をあてはめて考えてみたり、遠くは米国で自分のこれまでの所業について振り返ってみたりしているうちに、「もしかすると、自分の手法はToo much、あるいはミスリーディングになってしまっているのではないか」という思いが頭をもたげるようになってきている。仕事じゃなくてあくまでブログなのでざっくり分析になってしまうが、

- 準備も結構だが、もしかすると準備しすぎるのも良くないのかも。インタビュー前に偏見で固まってしまうリスクをこれまでちょっと軽視していたかもしれない。
- とはいえ、やはり準備不足は相当痛いので、仕事に戻ったら「最適予習量」のような相場観形成をしたほうがいいかもしれない。偏見に凝り固まらないようにしつつも、最低限の予備知識はきちんと習得しておくといった感じか。
- あまりこちらの判断で「この質問は聞くだけ時間の無駄」と決めつけて質問を絞り込むのも良くないのかも。自分が重要だと思う質問だけぶつけるのでは、得られる回答にもバイアスが存在する可能性が高そうだ。
- 授業において、採用インタビューの際には極力オープンクエスチョンで質問者の意図のようなものを匂わせるなと教わった。すなわち、仮説をぶつけるというスタイルの自分のやり方はちょっとリスキーなのかもしれない。実際、仮説をぶつけると、結構な頻度で「そうそうそうそう、よくぞわかってくれました」的な好意的な反応を得て満足していたのだが、これは「相手と自分の心が通じ合った瞬間」というよりも、「インタビューが歪んだ瞬間」だったのかもしれない。

と、自分のインタビュー手法について批判的検討を加えてみたのだが、それでは自分は卒業後どのようなインタビューをするべきなのだろうか。インタビュー/ヒアリングは卒業後にも頻繁に行うことになると思うので、この問題についてある程度方向性を出しておくことはかなり重要であるように思われる。

...が、まだ1年ちょっとあるし、頭もそこまで整理されてないし、何より眠いので、今日のところは「正解はたぶんsomewhere in betweenなんだろな」くらいの整理でとどめておくことにしたい。
準備しないわけではない。だが、準備しすぎるわけでもない。仮説を考えないわけではない。でも、仮説にこだわりすぎたりするわけでもない。自分の中にある潜在的なバイアスを認知し、それを除去するために何ができるか常に考えながら行動する。
何だか答えというには随分と曖昧な話になってしまったが、今日はこんなところで勘弁してあげて(?)、卒業までの中長期テーマの一つとしてちょっと思索を進めてみたい。