Friday, September 30, 2011

部下にとってのリーダーシップ、サラリーマンにとってのアントレプレナーシップ

雑感その2:

○リーダーシップとかアントレプレナーシップとか。最近になって少しではあるがそういった言葉の意味するところ、正確に言うとアメリカ社会において意味されているところ、が体得出来てきた気がする。一言でいうなら、日本で使われる意味よりもはるかに広く緩い使われ方がされているような気がする。

○リーダーシップ。これは「具体的にリーダーであったかどうか」というより、「主体的に考え動いているか否か」「自分の頭で考えることができているか」という意味で使われているように感じられる。あるいは「物事に対して当事者意識を持つことができるか否か」もまたリーダーシップの要素としてカウントしてよいように思われる。どこまで拡張してよいかはまだ確証を持てずにいるが、いずれにせよ、役割としてリーダーをやったかどうかは全然気にする必要がないように思われる。

リーダーの立場で何かを考えたり決めたりするのはむしろ当然であり、そこに「ちゃんとしたリーダーシップ」があるかどうかは逆によくわからない。むしろ、リードする立場にないとき(部下であったり、チームのその他大勢であったりするとき)こそここで言うところのリーダーシップは発揮しやすいのではないかと思われる。
何かを依頼されたとき、無為に言われた通りやるだけならそこにリーダーシップはない。もちろんない。他方、「頼まれたことを自分なりに咀嚼して問題意識をもちクリエイティブな解決方法を見出して120%のパフォーマンスを挙げる」とか「依頼内容はXXXであったが、問題を自分なりに再検討した結果YYYがより望ましいと考えられたので、情報を収集・整理した上でYYYした方がいいのではないかという逆提案を上司に行った」とか、こういった事例は立場は部下でもリーダーシップにカウントしちゃっていいのではないかというのが最近感じるところ。

最近あった体験に即して書くと、
・A君。プロジェクトのあらゆる過程について(彼の担当以外についても)ちゃんと目配せしてくれている
・B君。仕事XXXの担当者としてXXXはしっかりやる。でもそれ以外は無気力で、他のメンバーがしっかりやることに依拠してしまっている。
現時点における自分の感じるところでは、B君は仮に担当の仕事をしっかりやったとしてもリーダーシップがあると言えないと思う。担当だけしっかりやるというのはアメリカのオフィスでよくある風景とのことだが、それではスタッフだ。MBAを取って幹部候補としてやっていきたいなら、あるいは年俸十数万ドルもらってブイブイやりたいのであれば、いくらアメリカでもそういう態度じゃだめだと思う。

*ちなみに、日本で問題だと思うのは、自分が定義しているような意味でのリーダーシップを従業員に強く求めるくせ、それに対する対価を払っていない点にあると思われる。コンビニ店員や飲食店のバイトをやったことがあるが、「自分の頭で考えてイニシアチブを取る」という意味で言えば、下手したら今の勤務先よりもずっと強くリーダーシップ要求されていた。リーダーシップを要求するのは構わない。でも要求するなら時給1000円弱はありえないのではないか。こういった資質は立派なソフトスキルなんだから、要求するならアメリカで同様の仕事をしている人より多く給料をもらわないとおかしいのではないか。まあとはいえ、その時給で労働需給が成り立っているのだから自分が文句を言う筋合いもないのかもしれないが


○アントレプレナーシップ。起業家精神だが、これも起業という言葉に引きずられるとピントを外すのではないかと最近感じている。この言葉もより気楽に使ってしまってよいというか、広い意味で使ってしまってよいように思われる。「新しいことを始めようとする挑戦心」とか「これまでと違うことをすることにワクワクできる心的状態」とか「チャレンジや企画をきっちり形に落とし込むことができる実務能力」等々。

そういう意味では、ベンチャー企業の創業者がアントレプレナーシップをもっているのは、リーダーがリーダーシップを持っていても当たり前すぎて特別でもなんでもないのと同様であると思われる。むしろ、守旧的な官庁や大企業とかにいる人こそ、アントレプレナーシップを発揮することで価値を発揮できる程度が大きいのではないか。

大組織は既に何かしらうまく回っているプロセスが複数存在し、多くの従業員や管理職はそのプロセスを引き続き回す方向でものを考える傾向がどうしても出てくる。組織内部に慣性のようなものができ、その慣性を保つことでプロセスが順当に進み、利益なり何なりが出てくる。だけど、こういった慣性は得てしてこれまでとは違うことをやろうという試みの抵抗勢力となる。でも成長するためには新しい試みはほぼ確実に必要になってくる。

そんな状況で、アントレプレナーシップを「起業に関係ある概念→大企業のウチには関係ない」と考えてしまうと、新しいことに挑戦しようとする人を単に「既存のプロセスにひびを入れようとする不逞者」くらいにしか見ることができなくなってしまう。成長は不可欠であり、そのためには既存のプロセスと多少摩擦が起きてでも新しい何かに組織として挑戦し続ける必要があり、そういう挑戦してくれる人材尊重するような態度がないとどんな組織も成長がそこで止まってしまう。

既存のプロセスをこれまで通り回すだけの人は、仮にこれまで総合職とか一種とかいう肩書があったとしても、これからはアントレプレナー的でないという点において実質的には総合職的たりえない。既存ビジネスを動かす歯車としてもちゃんと仕事をこなしつつも、メインの重心は「新しいことにチャレンジして、しかも結果を出す」というところに置いて初めて総合職的たりうるのではないだろうか。

そういう意味において、誰にとってアントレプレナーシップが必要かって、それはベンチャーの創業者よりもむしろ「30歳前後で、基礎的な仕事のスキルは十分、ルーティンの仕事ならあまり頭を使わなくてもできちゃう。でも実は俺の仕事って、ルーティンタスクだけなら、一般職として隣に座っているケイコちゃんでもできてしまうかも。俺の総合職としての価値って一体なんだっけ...」みたいな自分の世代の大企業・官庁で総合職とか一種とか称している人々(というか自分)にこそ必要なんだと思う。あるいはマネージャー的肩書がついたらもっと必要になる。既存のプロセスをこれまで通り回せば自分の部署からそこそこの利益が出る。でも、成長のためには、自分の部下にルーティンタスクの消化だけではなく何か新しいことに対するチャレンジもやってもらわないとならない。そういうときにアントレプレナーシップに対する意識がないと、新しいことに挑戦しようとしてくれる部下のことをついうっかり「ルーティンタスクを軽視してチャラチャラ目新しいことばかり飛びつきやがって、いいから書類仕事やれよ」といった発想になってしまう。自分の部署にとっての「Cash Cow」であるルーティンタスクと多少の摩擦を起こしてでもチャレンジする部下を歓迎したり、その摩擦を嫌がるのではなく「摩擦の調整こそ俺の仕事」と喜び勇んで調整するようになれば、管理職も案外楽しいのではないか。アントレプレナー的管理職。悪くないと思うのだが。

米国に来る前は「起業なんてしない。なのでアントレプレナーシップなんて知ったことか」と思っていたが、その意味するところが思っていたよりもずっと広いと感じるに至った今では、「むしろ俺こそアントレプレナーシップを持たんと」とか考えるようになっている。

*ただ、アントレプレナーシップには、「リスクを敏感に察知する能力」とか「リスクを最小化する能力」も含まれているようなので、部下の挑戦を何でもかんでも許すというのはアントレ的上司ではなくただの「テキトー」ということになるのだとも思うのだが

冷静と情熱のあいだ

雑感を二つほど:

1.

そんなにサンプル数が多いわけじゃないので引き続き検証が必要だけど、アメリカ人・アメリカで教育を受けた人・あるいはアメリカ系の企業で働いたことがある人は、情と冷徹さのバランスみたいなものを割とうまくとることができている気がする。

頼りない人が来てもきっちり断ってチームに入れるのを断るとか、普段友好的な態度を取っていても肝心なところでは敵対的な対応をするとか、その手の冷徹な判断がうまい気がする、アメリカ人。

最初は面食らったが、最近はそのドライさに慣れてきたのか、そういった重要な局面で冷徹さを徹底できない方が駄目なんじゃないかと思うようになってきた。直近の例だと、

・とある米系企業で勤務とか転職した経験のある同級生。一緒にチームを組もうとあちらから持ちかけてきた授業について、「諸事情によりやっぱナシで。すまんけどよろしく」と一言。うへっと思ったが、おかげで自分としても対応策に着手することができた。さらに言えば、自分がそいつに貸しを作ったという貸借関係が明確なので、そいつは以後自分に対してより好意的になったし、自分も変に遠慮することなく素直に接することができるようになった。

・アジア出身の同級生。就職関係の予定が入ったそうなのだが、「もしかしたら抜けないといけなくなりそうだ。申し訳ない。全力を尽くすので、ちょっと結論が出るのを待っててくれ」とか。全力を尽くすという誠意が有難いというのはわかるが、どっちかというと今すぐその人と別れて新しいチームメイトを探し始めたいとついつい思ってしまう。これで「今すぐ辞めるか残るか教えてくれ」とか言ったら自分が悪役になってしまうので、なんとなく相手の次の動きを待ち続けることになってしまいもやもや。

上記の体験が自分の仮説とうまくマッチしているかやや自信がないし、そもそもサンプル数もそんなに多くないが、この自分が感じるところのアメリカンクールみたいなものは参考にしる価値があるのではないかと感じている。友情やら恋愛関係やらに引きずられてだらだらと決断を先延ばしにするよりは、さっさと結論を出してお互い次行きましょうと言う方が実は友情やら恋愛やら家族のためにも有益なのではないか、みたいな。ものすごくラフな話だが、日本は意思決定における「温情等、合理性から少し外れたところにあるもの」の占める割合が結構高い気がしている。「おたくのところにはこれまでお世話になっているから、よくわからないけどそのレアル立て投資信託、買わせてもらうよ」とか。儒教的・あるいは仏教的思想がもたらすものとしてそういった情を大事にするという発想が尊重されているということなのかもしれない。でもやっぱり、少なくともビジネスにおいては情を抑えて理で決めるというスタンスで行った方が関係者全員のためになると思うのだが。


うーーん、そもそもこの仮説が正しいのか怪しいし、仮に正しいとしても、一歩間違うとただの欧米礼賛なのかもしれない。。まあ、間違いだったら後日考えを改めればいいか。仮説それ自体を引っ込めることもあるまい。


長くなったのでもう一つは別稿へ

Thursday, September 29, 2011

2011 Fall

先週の木曜日に始まった学校。とりあえずいくつか授業を受けてみたり、自由研究のための日程確保を考えてみたりして、ようやく落ち着いたのでメモ。

Business Forecasting:

データ分析、あるいは計量経済学の基礎だが、教授によると主眼はデータから考察を得るための訓練とのこと。
解釈、あるいは解釈しやすいデータ作りといった部分に重点を置くとのことで、分析手法の習得それ自体がメインではないみたい。マクロ経済データを主なお題としつつ、昔の職場で使っていた懐かしの統計ソフトEViewsでガンガン分析を進める授業。個人的に気に入っているのは、データの取り方についても割と重点が置かれていることと、どう説明するか切り口を考えるところから考えろという教授のスタンス。

この教授は経済学部出身で、どうも何かの弾みでたまたまMBAに来てしまったような感じ。なので、MBAの「授業で習うフレームワークを無批判にあてはめる」という方法論が気にいらないご様子(自分も気に入らないので、教授のそんなところが気にいった)。宿題も、データを料理せよというものだけではなく、「○○という仮説の是非について検討したいので、データを適宜料理した上で是非について意見を述べてみよ」とかで、データ処理自体はたいしたことないがなかなかどうして知的刺激は少なくない。

運営も気に入っている。というのは、チーム編成を任意ではなくアットランダムにするという点と、個人課題が多い点。超個人的な意見で修正余地は大いにあると思うが、チーム組成能力が成績に関連してしまうのはあまりフェアではないと感じているのでアットランダムチーム編成は歓迎。もちろん、集団の中で自己アピールやら政治やらを駆使してベストメンバーを集めるという経験それ自体が貴重であることは強く認めるが、それが成績に影響するのはかなり納得がいっていない。今のところ運と縁に恵まれて任意に組むことができるElectiveでは全てAをもらえているが、それでも、人選とかチーム組成能力が成績に反映されるべきではないと考えている(ので繰り返しになるが教授の運営に賛成)。


Entrepreneurial Finance:

コックラムという名物教授による授業。事業運営にあたり、経営者が理解しておかないとならないファイナンス周りの知識を総括するというもの。主には資金調達がトピックで、最初は運転資金を扱っていてだいぶ地味(A社がオペレーションを受注生産から計画生産にしたら、コストは減るが運転資金は増えそう。さてトータルではどう考える?→Pro Formaを作って予想増加運転資金を計算して、みたいな)。今後は「銀行借り入れか社債発行か」とか「短期借入か長期借入か」とか「負債かエクイティか」とか「リースか借入か」とか「火事場の凌ぎ方」とか。

一応本職は銀行員で(ほとんど銀行的な仕事やったことないけど)、営業の立場にいたときは資金調達する側に立って考えたいもののイメージが湧かない...みたいなフラストレーションがあった。なので、こういう資金調達する側に立ってあらゆるファイナンス手法について比較検討するような授業は、なかなか面白そうで期待している。

ただし、運営面ではこの授業は超きつそう。遅刻厳禁、骨が折れても休むな、聞かれたこと以外答えるな、チームの連帯責任でParticipationが2/3のウェイト、等々。そしてHBSを出たいわゆるシリアルアントレプレナーである教授にたゆとう「俺は正しい」という有無を言わせない雰囲気。しかもグループが今のところしっくり来ておらず、どうも不安な感じ。しかも今日は中国人の女の子が我々に勝手にその子と自分とまた別の台湾人の女の子が新しくチームを組んだかのようにTAに連絡していたことが発覚して揉めたり。文句を言ったら「そういうことならオッケーよ、No Problem」と言われてムカっときてしまった。お前がProblemだよみたいな。。


Valuation


その名の通り。コア授業でも一通り「WACCとは」とかは扱うので、この授業は半ば無理くり論点の深掘りをする。一回でた限りでは、実務で一度でもバリュエーションに直面した人ならかなり楽しめそう。教授が特に実務経験豊富というわけでもなさそうなのが残念だが、とりあえず実務上気になっていた点について教科書的な考え方をバシッと教えてくれるので満足できそう。でもやっぱり、取り扱うことについて理解はできるが、モンテカルロシュミレーションとかリアルオプションとか、やって損はないがそれ以上のメリットもないような気もしている。絶対現場で使わないような。。。

ロジ面では、宿題が一発が重いものの2回に一回くらいしかないのでやや助かる。最終レポートが大変みたいだが、まあそのくらいは頑張る。気持ち的にはこの授業は楽したくて履修したつもりだが、勘違いだったらどうしよう。

ところで、バリュエーションの細かい話について日本人の友人に聞くと得てして「そんなの現場で使わない」という答えが返ってくる一方、割と親しい欧米元投資銀行組の外国人友人は日本人が使わないと言ったようなことをちゃんと現場で使っているようだ。具体的にはDCFもAPVも彼らは馬鹿にせずちゃんとやっているようなのだが、その辺日本と欧米で温度差のようなものがあるのかしら?この春とある投資銀行のFICCでインターンした台湾人の友人によれば、投資銀行のオフィスには「ガッツ系」の人と「数学系」の主にインド人というまったく異なる2つの人々がいたそうなのだが、なんとなくそれとこれとをなぞらえてしまう。


Takeover

バリュエーション応用編といった感じで、シナジーの見積もり方とかM&A関連の専門的な論点を扱う授業らしい。
今のところは面白い。ケースディスカッションも、教授がしっかりイニシアチブを取っていて、他の授業みたいに「時間を潰すためだけにやっているのではないか...」みたいな不毛感がなくて良い。敢えて言うなら、教授のリードがやや強すぎるかもしれない。答えのない問題を扱っているとか言っておきながら、教授の意に沿わないコメントをするとYes, butではなくBut...と反論するのはご容赦願いたいところである。あと、配ったスライドのうち半分以上をスルーしているのだが、そこは自習すべきなのかスルーしていいのか気にかかる。

・(ボツ)Corporate Entrepreneurship
内容は面白そうだった。できあがっちゃってる会社にイノベーションを取り戻すためにはどうしよう、というテーマは興味を大いにそそるところ。ただいかんせん教授のレクチャーが退屈だったのと、スケジュール繰り上うまくハマらなくなってきたので撤退。リーディングをたくさんもらっているので、これを読むだけでも楽しめそう。「読むだけでなんとなく楽しめる」度合いはこういったソフトスキル系でしかもあまりプラクティスをしない授業が一番高いと思う。

・(ボツ)Real Estateどうしたこうした
不動産ファイナンスをさわりつつ、金融市場・中央銀行・証券化市場等について概観するという授業。いわゆるFixed Incomeな人々にはたまらない授業のはずで、自分も大いに興味があったのだが、日程が噛み合わず泣く泣く撤退。


・総括

こんなにコーポレートファイナンスっぽい授業ばかり取りたくはなかった気持ちもあるのだが、ただ今学期の主眼は自由研究にしたいので、多少なり貯金のあるファイナンスや経済系の授業で固まったことはまあやむなし。でもまあ実際受講してみると、やはりファイナンス系の授業はマーケティングとかよりしっくり来て楽しい。ごく自然に発言もできてしまうし。

あと、先学期に引き続き、結果的に日本人と重ならなかったことはラッキー(ゼロではないが)。やっぱり色々頼ってしまったりするので、個人的にはいない方がちゃんと頑張れる感じがするので良いように感じている。

さあ今学期も一丁頑張ろう。

Issues in M&A valuation

1. シナジーの計算

・シナジーはヒストリカルデータから出せるものでもないし、外部のコンサルタントや投資銀行が出してくれるものではないと心得よ

・M&Aがなくても達成できてしまうようなコスト削減はシナジーから除外せよ

・シナジーとはFCFである。すなわち、税率を考慮せよ

・WACCは何にすればよいか:主な改善がターゲット会社でなされるのであればターゲットのWACCとすべきだし、逆もそう。実務上えいやっと加重平均を取ることもあるが、理念上はシナジーの発生元がどこか配慮すべき。

・成長率はシナジーの内容を吟味して決めよ。マージンの改善といった構造的な改善なら長期成長率をゼロにしなくてもいい。他方、単発的な費用削減なら成長率はゼロとすべき

2. Stand-alone価格の計算

・ESOは控除すべき。我々が計算しているのは既存投資家にとってのキャッシュフローであり、新規投資家へのキャッシュフローは既存投資家にとってはキャッシュアウト。毎年見込まれる金額をFCFから控除してもよいし、ドンと一発NPVみたいなものを推計して、NPVから一回だけ控除するのも良い

3

Wednesday, September 28, 2011

busy busy busy

ちょちょ、、、と突っ込みを入れたくなるくらい忙しい感じ。
まあ今学期は自分をとことんまで追い詰めようと覚悟していたので、このくらいのことは辛くはあるが我慢できる...なんてことは全くなく、どちらかというと楽にさらっと流そうと思っていたので現状はまったく想定以上の厳しさでありしんどい。想定できていたらしんどくないのかっていう問題もあるが。

まず、あまりにも授業選びの基準を知的好奇心に依拠させすぎた。自分のキャパシティの低さとか、学業以外に振り向けたい体力気力とか、果ては正直勉強したってしなくたって云々みたいなところとか、そういうポイントにもっと気を付けるべきであった。今のところすべての授業がとても面白いのだが、いかんせん宿題が多過ぎる。

あと、最初ゆえのギクシャクみたいなものにも苦しめられている。最初のメンバー決めでは、うまいこと言っている科目もあるけど、そうでない科目もあったりとか。ここまでの流れから経験則を探るとするならば、たまたま隣に座った人と組むとあまり良いことがないのかもしれない。でもまあ交友関係は広がるので、悪いことでもないが。

そして何より、始まっちゃった自由研究がじわりじわりと厄介。なんというか、動き出すとどうしても失敗が出てくるし、やりたいことを達成するためには避けて通れないけどやりたくないことなんてのも少なからず出てくる。やりたいことだって、思った通りにするっとは進まない。その分終わった後の美酒は美味しいはずなのだが、とりあえず現時点では180%くらい始めてしまったことを後悔しているような。いややっぱり後悔はしていないか。単にしんどいだけか。先日のブログには「成り行きの果てに今の自分がある」みたいなことを書いたが、さはさりながら、何かアクションを取るとそれに応じて色々なものが付随して動くのを感じている。成り行きがアクションを招来するのか、アクションが成り行きをもたらすのか。

明らかに精神的余裕が失われているので、今にもでっかい粗相をしてしまいそうな気がしていてちょっと嫌な感じ。メールもLast in first out方式になってしまっていてまずい。

まあでもうれしい副作用のようなものもあり、危機感のおかげかリーディングスピードが当社比でずいぶん早い。もちろんはしょりはしょり読んでいるが、なんかすいすい進む、気がしている。気がしているだけかな。。

Monday, September 26, 2011

Bank loan

(伝統的な銀行ローン)
  • Short-term Loans: 返済原資は主にCurrent A. のLiquidation
  • Long-term Loans: 返済原資はFuture Cash flow
  • Revolving Loans: Long-term working capital用に設定されることが多い


(特殊なローン)
  • Trade Finance Products: 短期取引を円滑にするため信用供与するもの。
    • Letter of Credit (L/C): 
    • Banker's acceptance: 
  • Factoring: A/Rを銀行が割り引いて引き受けるもの
  • ABL


(Loan Agreement)
  • Amount
  • Term
  • Interest rate and other fees (commitment fees, closing fees)
  • Option of prepay, or not
  • Discription of use: 使途
  • Collateral
  • Guarantee
  • Conditions precedent: 実行前融資条件
  • Representations and warranties: 各種書類や情報が正しいとアテストすること。違反はデフォに
  • Covenants: 
    • Affirmative Covenents: 何かをする約束(財務諸表の提出とか、使途通り使うこととか)
    • Nagative Covenants: 何かをしない約束(約束外の設備投資とか、各種レシオを下げないとか)
  • Event of default: デフォルト条件の定義


(ローンの転売)
  • Participations
  • Syndications
    • Sale to third parties


いきなりひっちゃかめっちゃか

新学期2日目。なんか忙しくてあたふたしてしまった。こういう風にちょっと負荷がかかるだけで、いかに自分が効率がいいのではなく楽しているだけということがよくわかってしまう。

やったこと:

○自由研究について教授とミーティング。イージーな人だと思っていたら、予想以上に厳しい(というか普通)でちょっと面食らう。

・自由研究の単位数について、とりあえず4単位でどうでしょうと持ちかけてみたが、4単位欲しいなら週20時間はその研究にDevoteする必要があるがどうか?と問われる...結局、じゃあ2単位で結構ですということに。。これまで4単位を取るのに週20時間も費やした科目なんてねぇぞ...

・研究の構想については、複数人の友人に相談したところ実に多種多彩なアイディアを貰えたからか一発でOKが出た。調査内容が教授の教えている分野とモロかぶりだったので詰められることを懸念していたのだが、友人たちの助言のおかげで最低限のツボは押さえられていた模様。

・ただし、フィールドスタディについては、質量ともに自分の構想では不足と指摘されてしまい、あれやこれや、追加的なコンタクト先を指示されてしまった。

・とどめは進捗管理。学期に数回のミーティングを想定したいたが、きっちり週一でやりましょうということに。

→そもそも教授のサポートあるいは学校の単位認定を仰いだのは、飽き症な自分にムチを入れるため。その点において、既に一度目の飽きが来ている自分にとって、教授の厳しさは良薬ということなのだろう。でもまあ、しんどいや...


○午後一で名物教授の授業。正式名称はいまだに知らないのだが、当の教授も略称"Entrepreneurial Finance"を使っていた。
*Entrepreneurialとミスタイプせず一発で打てるようになった自分に軽く感激

・予想に違わず、これまでの授業にはなかった緊張感。遅刻欠席絶対ダメ、毎週グループワークの内容について報告しフリーライダーは厳罰、聞かれたことだけ答えればよく的を外したコメントは採点対象外、、、

・しばらく授業内容について説明を受けた後、全員で自己紹介タイム。久々にやったが、言葉は思ったより出てこなかったが身振り手振りが思ったより出て自分に軽く引いた。そして自己紹介が終わったと思ったら、授業中にチーム決めタイム。多少もめたが、日・台・韓・香港という何かいい感じにばらけたチームが出来上がった。
*中国人で中国の大学のMBAから交換留学で来ている人がいたが、なんというかものすごく中国的ですごかった。一言で言うと金正男、って中国人じゃないけど。態度もものすごく昔の中国っぽくて、かなりきつかった。何より、相手が中国人っぽいと中国語で話しかけてくるのはNGだろ..結果的にその人を受け入れることになったチームが若干可哀そう。。

・お試しのつもりで参加した授業だが、なんか一発目の授業でチームを組むことになってしまい、もはや抜けられない感じ。こうなったら気合入れて頑張るしかない。。

○2つ目の授業は、あまり評判のよろしくないけどシラバスが面白そうだったから参加してみた。正直乗り切れなかったが、代替案も今一つなので、どうしたものか思案中。。とりあえず受講するとしても、教授のレクチャーが何ら役に立たないので、聞き流しつつ自分で資料を読み込んでいく感じってそれ何て日本の学部教育...

*まあでも、隣の女の子は関心が深い分野みたいで、ものすごく目を輝かせて話を聞いていた。教授がどうのこうのというより、自分の問題ということかもしれない。

Sunday, September 25, 2011

M&A 法律基礎

○会社とは:
株主利益と公共の利益
両者のバランシング

○州法と会社:
デラウェアの優位性
他州もデラウェアを参照しているが、もちろん自由に反買収法とか適宜制定できる

○取締役:
日常業務はCEO以下執行役員の仕事で、取締役はその監視とか戦略的判断とかCEOの採用とか

・Fiduciary Duties(受託者義務)
Duty of Care: 「ちゃんと」経営判断したか?適当にやってないか?←法律事務所・投資銀行・あるいはコンサルがディールに必要となる要因
Duty of Loyalty:会社のための判断となっているか?
Business Judgment Rule: 基本的には、裁判所はこのルールに基づき、取締役が「きちんと」判断したものと考えてくれるが、もしここをChallengeされたら、取締役はその経営判断について正当性を立証しないといけなくなる

○取締役と株主

・大原則として取締役は株主のためになる経営判断等をすべきだが、ヤヤコシイ局面もありうる
*短期的には損だが長期的には利益となるような投資判断とか)

・株主は対抗手段として、議決権を持つ。また、単に株を売るということで反対意思を示すことも可能

○M&A関連論点

・今は会社法が「しっかりしている」こともあり、法律事務所は取締役の経営判断に不可欠な存在。単なるご意見番とかEndorsementの役割を超えている

・M&Aにあたり「ちゃんとした」経営判断がなされたと認められるために取締役が潰しておくべき論点:
*売るとき)自社の企業価値
*両者)金銭価値以外の論点(リスクやステークホルダーへの影響)、執行役員が作った取締役会への報告書の信憑性の検証、独立した第三者への権限移譲の適切性、専門家の報告書の正当性検証、投資銀行の報酬の正当性検証、買収防止策の正当性

・買うときは既存株主が議決権を失うことがないのでまだ問題になることはないが、売るときは株主が議決権を失うので、株主利益に反していないかみっちりと検証されてもいいようにしておくこと


●なんちゅうか、投資銀行の「士業性」のようなものを認識。バリュエーションのために本質的に必要という側面もあるとは思うけど、後日訴えられないようにするためのエクスキューズのために存在している側面があるということか。。仕事で「とりあえず弁護士先生のコメントもらっとけ」みたいなことがよくあったけど、そのノリに近いのかな

Saturday, September 24, 2011

iPad2いいね

○土曜日。買物行って打ちっぱなし行って、夜はMBAの日本人学生で食事して。なんだかびっくりするくらい安かったのだが、あれ計算合ってるのだろうか..それにしても、一週間ご無沙汰しただけなのにものすごくゴルフが下手になっていたのはこれいかに。。

○買ったiPad2、セッティングやらアプリ導入やらを進めれば進めるほど愛着が出てきている。今日は買物に行くに当たり宿題のリーディングをあれやこれやiPadに詰め込んで、妻が試着とかしている間にせっせと予習してみたら割と集中できていい感じだった。

特に大当たりだと思っているアプリは、
・Dropbox
・Evernote
この2つは言うまでもなし。
・外付けHDDにweb経由で接続するアプリ(HDDメーカー提供のもの):このアプリのおかげで、外付けHDDに入っている情報がDropbox感覚でいつでもweb経由でアクセスできる。写真やら音楽やらといった重ったるいデータは全てHDDに入れているので、こいつにweb経由でアクセスできるのは実に便利。web接続なのに音楽を再生しても全然途切れないし、かなり最高。
・GoodReader:eReaderだが、iPadに最初から搭載されているiBookの100倍くらい高性能。まずアンダーラインやら蛍光ペンやらができるし、その他色々使いこなせないほどの機能が満載。Dropboxでとりあえずファイルを開き、GoodReaderに送り込み、線を引きながら読む。これによりかなり生産性が高まったような気がする。あくまで気がするだけだが

*といいつつ、iPadのキーボードの使いづらさはかなりのもの。キーボード系のアクセサリーが欲しくなってしまうではないか、、

週明けには風呂のフタみたいな純正カバーとソフトケース(ここでTimbuk2に初挑戦!)も届くし、引き続きこのiPad君と戯れ続けていたい。といいつつも、週明けに朝一で自由研究に関して教授とミーティングを入れてしまったので、彼の時間を無駄にしない程度には明日中に頭の整理を進めておかないといかんので遊んでばかりもいられないのだが。読まなきゃならないケースもリーディングもいっぱいあるし。生産性を高めるためのiPad2だが、今のところはだいぶ自分の足を引っ張ってくれている感じである。

Friday, September 23, 2011

Re-Orientation

○授業は昨日のうちに始まっていたが、今日始業式というかオリエンテーションがあった。朝食→セッションいっぱい→昼食という流れのなか多くのクラスメートと再会して挨拶したり夏の思い出話をしたり。夏のインターンでそのままフルタイムオファーをもらった人も多少はいるが、殆どの人は意図してか否かインターン先とは別のところに就職するようで夏の話を聞いても人によって歯切れの良さが違ってちょっとだけめんどくさかった。以下細かい話:

・ネイティブの皆はギュッギュとハグして再開を喜んでいたが、自分は乗り切れず。一度くらいはハグしたが、あとは握手(別に握手しようと明言するわけではなく自然と握手になるので、おそらく自分が「ハグはちょっと...」という雰囲気を出してしまっているのだろう。要反省)

・交換留学に行っている同級生が多いので何割かのクラスメートはいないのだが、それ以上に人がいない。たいしたセッションがないとか、メシもたいしたことないとか、その辺りを読み切って来ていないのだろうか、皆ちゃっかりしてることよ。

・錯覚かもしれないが、一年前あるいは前学期と比べても英語が耳に入ってくるようになっている気が。。まあ気のせいだろうけど。あと、聞こえるようになったと言っているそばからあれだが、アトランタの発音が全然通じず残念だった。なんだろ、、

Thursday, September 22, 2011

人生ケセラセラ、なのかどうか

いよいよ2年目スタート。

○4時間半睡眠構想は、、、さっそくミス。4時間半で鳴った目覚ましを無意識のうちにとめて、6時間後にはっと目が覚めた。でもやっぱり90×n分睡眠は目覚めが良いような。

○授業は午後からだが、午前中に図書館へ。ある科目のReading Packetが高いので図書館にあるリザーブ(保存版)を持ち帰ってスキャンしようと思い窓口へ。これが初挑戦だったのだが、残念ながら失敗。図書館外への持ち出しはできるものの持ち出し可能時間はたったの2時間で、超過すると罰金が発生するとのこと。これでは数百ページある教材を持ち帰ってスキャンすることは難しい。また、図書館内にあるコピー機も初めて目にしたのだが、自動で紙を引っ張る機能(?)がなく、昔のコンビニのコピー機よろしく一枚一枚蓋をあけてはコピーして...が必要。しかも1枚10セント超。なめとるんか...ということで、下手したらこの科目のリーディングは読まずにスルーするのかもしれない。

○で、お気に入りのチョコクロワッサンを食べて、いざ授業へ。日本人学生の評判がいまいちの教授なので心配していたが、確かになんかちょっと不安な感じ。。ネイティブではないので訛りがあるし(マーケットのことをマルケットとか...)、伏せ目がちで嘘でもついているのかといった感じだし。また、今回だけかもしれないが、一部のマニア学生が細かい論点にやたらめったら食いついてしまい、議論が停滞してしまっていた。うーむ、次回も履修するかどうか、ちょっと微妙なところ。

○帰り道に、悩んだ末にiPad2を購入。買う直前に気付いたが、学割で$50安く買うことができた。うきうきして帰って、家では予習すべきところをずっとiPadの初期設定に忙殺される。やれ複数のカレンダーが同期されないとか、やれ複数のメールアドレスで発信できないとか、なんのかんの。使ってみて改めて感じているが、PDFを読むのにiPadは意外と使える印象。目もそんなに疲れないし、作業中にメール着信ポップアップとかツイッターとかFBも同時にはいじれないので、なんというか勉強に集中できそう。勉強に集中するためだけにウン百ドルというのはかなり微妙だが。。

○今年いっぱいかけてやる予定の自由研究が軌道に「乗ってしまった」。なんというか、運命のおぼしめしというか、自分の意思以外の力がおおいに作用しているような感覚でここまで来ており、どうもいまひとつ自分の意思で100%状況をコントロールできている感覚がない不思議な感じ。結婚したときもこんな感じだったような...おや誰かが来たようなうgはえjgaeljfじゃおえ

たまたま先輩やら友人やらのつてで色々な人と繋がって、そういった人々と冗談半分で言っていたことがなんとなく現実味を帯びてきて、みたいな。自分が主体的にやったことといえば「明らかにここは一歩前に出る局面だろう」という状況において空気に従って一歩前に出て「実際にその企画やってみたいのですが」とおずおずと申し出たことくらい。始まってしまったら成り行き任せにばかりしていられなくなるとは思うが、この「成り行き+ちょっとだけ主体的に前進」というパターン、ひとつ楽しんでみたい。

でも本当は、この成り行き任せな考え方はあまりMBA的でないのかもしれないなんて思ったりもする。。成り行き任せも嫌いではないが、もう少しバシッと何かを成し遂げる経験もしておきたいのだが(念入りに最初のところから企画して予定通り成功、みたいな)あるいは、「こんな成り行き任せで主体性がないゆえ、今の自分は駄目なんだ」という解釈もできるのかもしれないが。

Wednesday, September 21, 2011

It's starting...

さて明日からいよいよ2年目スタート。

○1年目は「寝過ぎた」という反省があるので、2年目は寝過ぎないようにしたいと思うのであるが、殆どの日は授業開始が午後1時とかで、ちゃんと起きる必要性がいまひとつ乏しい。ひとつ流行りの(?)90×n分睡眠にチャレンジしてみようと思うのだが、6時間だと全然普通なのでチャレンジするとなると4時間半になるのかな。しかし、4時間半と言っても、床に就いてから実際睡眠に入るまでの時間はどのように考えればいいのだろうか?もし「眠りに入った瞬間に作動して、そこからちょうど4時間半後に鳴る目覚まし」とかがあればよいのだが、床に就く時間から4時間半を計算したら毎日4時間半未満しか睡眠できていないことになるような。あるいは逆算して、目覚ましを4時間45分後とかにセットすればいいのか?まあでもあれだ、こういう話は4時間半前後で起床できるようになってから考えればいいのかもしれない。


○今学期は4科目か5科目ほど履修する予定。履修科目に上限がないというのは、Quarter制でより多くの科目を履修できる点とあわせてUCLAを受験する理由にしていいくらい素晴らしいことだと思う。また、この一年でやってみたいことも一つできたので、それについても企画を練ったり関係者に相談したりしている。できれば今月中に具体的なアクションをとりはじめたり、相談する幅を拡げたりしていきたいのだが、そうなると5科目ってちょっと鬱陶しい。。。金にならない誰得な企画だが、それゆえにこそ、今年やらないでいつやるんだという感じなのでひとつ頑張ってみたい(※100%コミットしきれていない自分に対する叱咤含み。書いてしまうことで無理矢理コミットさせようとしているもの)

Tuesday, September 20, 2011

Corporate Entrepreneurship の現状

履修予定のCorporate Entrepreneurshipで最初に読まされるサーベイ論文のようなものについてメモ。ただし2002年のものなので最新の情報かどうかは不明。

○Corporete Entrepreneurship(企業における起業家精神?)という学問の現状は、
・言葉の定義も、その意味するところも、人によってばらばらで統一されていない
・色々仮説は提唱されているが、実証研究により試されていない
・理解のためのコンセンサスを得た学習の筋道のようなものも未整備(→とはいっても教科書があるくらいなので多少は整備されているのだろうが)
で、おおいに進歩の余地がある分野である

○従来型のEntrepreneurship研究は、得てしてスーパースター的個人起業家の個人的特性を拾い出すことに終始してしまいがちであり、学問と呼ぶに耐えがたいところがある。その点、企業ベースでEntrepreneurshipを研究することは、属人的要素を排除することができる点で学問的に有益といえる

○企業の成長停滞・弱点の露呈・イノベーティブな若手の離脱等の問題に対する解としてCorporate Entreが機能しうるので、研究に対するニーズもあると言える。しかし、いかんせん理論が整備されつつあっても、実践面での困難が伴う。

○色々な区分方法があるが、内的/外的なものとか、自発的なもの/上の主導によるものとかがある。

○Corporate Entreとは、社内ベンチャーだけに限定されるものではない。社内ベンチャーの他、既存組織の改編や改革もCorporate Entreの文脈で語られうるし、社内の資源配分や業界の競争のルールの変革もそう。

Monday, September 19, 2011

夏の終わりの日常

○もう少しで人生トップ5に入るであろう素晴らしい夏(休み)も終わる。
来年以降、「あの頃はよかったなぁ」とか言ってしまうかと思うと結構萎える。まるで人生この先下り坂みたいではないか...人生のステップアップの勾配を高めるための留学なのに。。ということで、そんなしょぼくれたことを思いながら無為に老けていくのもアレなので、とりあえず戻って2年は一生懸命仕事してみようかと思いを新たにした。3年目以降は、追って考えればいいかなと。。

○ここ数日やったこと(順不同)

・ゴルフ
・ゴルフ
・ゴルフ:さすがに3回目は疲れが出たが、途中で発想を変えて「不調のときどう凌ぐか」に注意しつつラウンドしたらそれはそれで楽しかった。備忘までに書いておくと、ポイントは
(1)ありえないミスが一定確率で出ることを受け入れる(一々へこまない)
(2)パーバーディーを狙わない(ギャンブルしたりピン狙ったりせず固めに行く。それでもたまにラッキー寄せワンは出るので耐える)
(3)ティーは低く
(4)そういうときのため、なくしてもいいボールを用意しておく(ラウンド中に拾ったボールとか)
とか。まあでも結果を見ると全然凌げていないので、上記仮説が正しいかどうかは極めてあやしい。
・歯医者:インプラント(のための準備手術)の事後経過が良好であることを確認。これで費用も天井が見えてきた。
・Fatburgerとかたまえんとか
・要らない教科書を下取りに出したとか、4パットとか出たパターをRoger Dunnに返品してやったりとか
・2台目のiPadを買うか買わないか悶々
・娘に買い与えたStriderで公園で遊ぶとか。これすごい商品だと思う。考え出した人天才だと思う

Friday, September 16, 2011

How to do my best

近況とか思いつきとか


○娘が久しぶりに体調を崩した。夏休みの旅行を元気に乗り越えてくれたので、このタイミングで体調を崩すのは全然OKという感じ。もちろん苦しむ顔は見るのも辛いし、看病も大変なのだが(って妻に殆どやってもらってしまっているが)。でもまあ、旅行中に体調を崩すことなく本当に良かった。


○何の根拠もないし経験に照らした検証もあまりしていないのだが、世の中には、満ち足りているからこそ発揮できる力と、飢えているからこそ発揮できる力両方あるような気がしてきた。

ハングリー精神、問題意識、成長への飢え、「これミスったら終わる」という危機感。その手のものが成長とか成功のために必要であることはよくわかる。ただ、年がら年中ハングリーであればそれでいいかというとそういうわけでもなく、満ち足りた精神状態であるからこそ出せる力というものもあるんじゃないかとふと思った次第。無理矢理理屈っぽくしてみると、満たされていると心の余裕とかポジティブなメンタルとかそんなものが発揮されてそのおかげで良い結果を出せる、みたいなイメージ。

満足が成長を止めてしまうという側面があることも当然注意を払わなければならないが、常に満足することなくハングリーで居続けるだけでは作れないもの、発揮しづらい価値のようなものがあるような。そんな根拠レスの思いつき。知足って感じ?走り続けるよりは、ハングリー精神で走って満たされた状態でゆっくりして...というサイクルを回す方が良いような。

同じ人が二つのパターンを要するというよりは、人によってどちらのパターンがよりフィットしているかという話なのかもしれない。同じ仕事や同じ課題でも、締切に追われつつ半べそかいてやる方が良い結果を出せる人・締切が気にならないくらい余裕をもって終わらせる方が良い結果が出せる人、人によって色々タイプがあるという話。その方がより自然な気はする。「俺は先行逃げ切りタイプ」とか「締切直前に萌えるタイプ」みたいなステレオタイプは良く耳にするし。

いずれにせよ、今後自分が社会で何か大きなことをせんとするのであれば、自分がどのような状況下においてどのような力を発揮できるのか理解しておくのは割と重要ではないか。仮に先行逃げ切り型なら、追い込まれないような環境を作るための努力を行うとか、「この手の仕事にあたっては、俺は追い込まれた方が力が出る。ついてはまず夏休みを取るところから始めよう」とか。そういう自分をよりよく稼働させるための工夫みたいなものを少し意識すると、同じ仕事でもパフォーマンスが少しずつ改善したりするんじゃないかと。

ここまで書いて思い出したが、そんなことを社会人になる直前にも思っていたことを思い出した。で社内報の新人自己紹介欄では好きな言葉に知足と書いたなぁとか。赤面する思い出。。。

*暇になると思考が抽象化するんだなぁ、と書きながらあるいは夏休みの部ブログを思い返しながらなんとなく思った。いいことなのか悪いことなのか。。。やや悪いことである気がしているが。

Wednesday, September 14, 2011

M&A tips

今学期履修する授業の予習リーディングを、自分なりに整理する。ブログで読めるレベルにこなれた文章にすること、あるいは日本語にすることでより一層頭の整理ができればと思ってのもの。今後も続けたいが、三日坊主になるような気もしている...

まあでも、こういうM&Aの実証研究とかtips話はとても面白いんだけど、アカデミックかどうかと言われるとちょっと???な感じ。やっぱりデリバティブの計算とかの方が学術的には「きれい」。

*投資なんてやったことのない人間によるメモなので、投資関係者で実務的観点からコメントがあればメールなりコメントなり適宜お待ちしています




○多くのM&Aが、それによって生まれた経済価値の殆どが売り手の株主に流れてしまっている。すなわち、買収者(の株主)は歴史的にはほとんど儲かっていない。

簡単な算数でいえば、それは買収価格が高すぎるから。高値掴みをしてしまっている。

かといって、プレミアムが低ければよいというわけでもない。買いたたいて失敗した事例、高い買い物になったが成功した事例は存在する。

ポイントは「そのターゲットが自分にとってどのくらいの価値があるかしっかりと見極めること」と「その価値を上回ったら1セントたりとも競り上げないこと」。

○自分にとっての価値を見極める・・・自分にとってのターゲットの価値と、ライバルにとってのターゲットの価値は等しくない。自分が期待できるシナジーの価値と、ライバルがターゲットを買うことで見込めるシナジーの価値が異なるからだ。相手が1兆円出したからわが社も1兆円、というのは駄目。

価値の見極めに大事なのは、ちゃんとしたバリュエーションと、シナジーの見積もり。シナジーを見積もる際には過大評価しないこと・負のシナジーもちゃんと考慮すること(例:銀行と銀行が合併して支店を削減したらコストは減るが、往々にして顧客=売上も減る)。シナジーは思ったよりも少ないことが多いし、思ったよりも遅く表れることが多い。従業員の融和や取引先との調整など、出来ると思ったことができないことも視野にいれておくべき。その辺投資銀行もコンサルもそこまで親身になって見積もってくれない。

○一円たりともOverbidしない:入札は得てしてアツいものなので、担当者が感情的にえいやっと高すぎる価格を入札してしまうことはよくある。それゆえ、ついやってしまいがちであることを認識した上で、そういうことがなくなるような仕組みを組織として構築しておくことが望ましい。入札価格を上げるのに上司の決裁を必要な内規を作るとか、3年以内にROIC●%達成という目標を立てることでコスト感覚を植え付けるとか。

○「戦略的投資」には常に疑いの目を保つこと。戦略的投資とは「計算上の価値は低いけど、数字で示せない価値があり、そいつを考慮すると買わんとならん」みたいなもの。世の中に計算できない価値がないとか戦略的投資があり得ないとかまでは言いづらいが、経営者は戦略的投資に懐疑的であるべき。数字で示せない価値の多くは本当に無価値であることが多いし、バリュエーション手法を洗練させれば捕捉できる価値であるかもしれない(リアルオプション等)。繰り返すと、絶対NGとは言わないが、疑う姿勢は必要。


●マルチプルは有益だが、使い方にはとみに注意すること

・EPSはダメダメ指標。USGAAPもIFRSものれんを定期償却しなくなったのでEPSで企業を見ると過大評価になってしまう。

・マルチプルを使うときには、利益の指標ではなくキャッシュの指標、株主価値の指標(E)ではなく企業価値の指標(V、あるいはD+E)を使うこと。これにより会計規則要因やら資本構成要因を除去する。

・ヒストリカルではなく、インプライドの指標を使うべき。実証研究によればインプライドの指標あるいは指標の予測値を使う方が「当たる」可能性が統計的に有意に高い。

・適切な比較相手を見つけることが鍵。これこそがベテランと新入りの差を大きくつける部分
(←超適当に、思いついた会社を比較相手にしていたなぁとか...恥)

・マルチプル計算にあたっては、余剰資金を差っ引くとか、リース負債を負債と利払い部分を調整するとか、そういう微調整をちゃんとやること

【備忘】ブログ微調整

・「お勉強」というカテゴリーを追加し、「学校」カテゴリーのうち授業の内容やその感想等はこのカテゴリーに再編成

・「学校」は、学校で起きたこと、思ったことが中心となる予定。割引率がどうしたとか、具体的な授業の話は切り分けた。

Tuesday, September 13, 2011

PDFを効率よく読みたいだけなのだが...

○教材が紙ではなくファイルで配布されることがより一層増えてきた。これまでは紙でもらうことが多かったので、とりあえず授業終了までは紙を使って読んだり書き込んだりして、授業終了後にせっせとスキャンするという感じでやっていた。今後は、まず手元にあるのがファイルとなるので、授業前にこまめに印刷して読むか、ファイルをそのまま読むか考えなくてはならない。


○しかし、いまのところまだ自分は現代っ子になりきれていないようで、紙媒体を読むかのようなスムーズさでディスプレイに写ったPDFやら電子書籍ファイルやらを読むことはできない。特にPCは、文書を読んでいる間他の作業ができなくなってしまう点・読書中につい他のFBやら何やらに気が散ってしまう点において読書用ディスプレイとしてはかなりの低性能。


○先学期も似たような状況は多少あって、Kindleを買おうかどうしようかと考えた。だが結局、KindleがKindle用電子書籍ファイルならともかく一般のPDFファイルを閲覧するにはあまり最適ではないように思われたので判断を保留し、毎回毎回図書館で(無料だし、両面印刷できるので)印刷しては紙で読んでいた。今回もそうしてもいいのだが、果たしてどうしたものか。やはり、ファイルをファイルのまま閲覧して紙と同じレベルの理解度を目指す方向で考える必要もあるのではないだろうか。


○とかなんとか考えて、結局結論は出ていないが、なんとなくもう一台iPadを買いたいな~などと心が傾きつつある。現時点で検討した主な論点は:

・PDF閲覧性能についてはタブレットがPCやキンドルに優っている→金ドルよりはタブレット

・とはいえPCやHDD等があるので、仮に新しい何かを買うにしても、作業のしやすさ・データ保存量といったメリットは必要なし

・読書用の板という機能を踏まえると、軽・薄が望ましい→機能充実だが分厚い東芝タブレット他より、iPad

・とはいえ、iPadに求めるものが読書用ディスプレイくらいのもの。それだと、わざわざ新たに買うには及ばないような気もする...そもそも家に一台iPadあるし(娘に占領されてるけど...)

というあたりで今堂々巡り中。またもちろん家計簿も一応見ておかんとならんし。
近日中に結論が出るといいな。

旅行後の日常

オチも何もない、ただの日常の羅列


○旅行以来脳の揺れが続いている感じで、帰宅した夜なんかは謎の寒気に襲われてあわや嘔吐といった感じだったのだが、ようやくアラスカ旅行の疲れが取れてきた感じ。だが、依然として食生活が元に戻らない。具体的には、一回の食事で食べられる量が減った代わりに間食したい欲求が強まっている感じ。晩飯を茶碗一杯も食べたらウップとなってしまうのに、その後夜になるとおやつが食べたくなってしまい色々食べてしまっている。今日も昼に久しぶりにChipotleに行ったら、一番小さいボウルを食べきれなくてショック。これじゃタコスやブリトーなんて全然無理じゃん。まずいなぁ


○音楽教室を見つけたので、娘と体験レッスンに行ってきた。ベテラン感あふれた先生と一緒に、歌ったり手をたたいたりジャンプしたり。自分達以外にもスペイン語しか使えなさそうな親子がいたが、歌をちゃんと歌うことは全く求められない感じなので語学は全然問題にならず良かった。ちょっとやっているうちに娘も踊りやらタンバリンやらできるようになってきて、その授業の狙いであろう「音楽を楽しむ」みたいなことがちゃんとできていて親馬鹿的に感動してしまった。

また、殆ど理屈とか勉強チックなものはないのだが、そうはいっても先生の話の端々に出てくる音楽用語はいちいち勉強になった(音楽用語を英語でなんというか全然知らなかったので)。最初はNoteと言われただけで「??」と思ってしまったが、最後の方にはHalf noteと言えば二部音符であることもわかったし、ドレミも英語発音では微妙に違う(特にレとシ。レはLEというよりはREといった感じ、「ぅれ」といった感じ?シはSHIというよりはSI、シとスィーの中間みたいな)が面白かった。

かねてから娘をプレスクールに入れようかどうか考えているのだが、こちらのプレスクールの主要な機能である「子供を預かってくれる」という点については我が家はさほど重要度が高くないので、それ以外の機能を相当程度補完しうるように思われるこの音楽教室にしばらく通ってみることにした。

しかも、プレスクールより断然安い。おそらく子供を預かるというサービスの対価が相当多額なのだろう。

もちろん、プレスクールに通った場合と比較して何かしらのデメリットが出てくることはあるかもしれないが、まあなんとかおいおいキャッチアップしてもらうことにしたい。うまいこと自分の授業と重ならない枠が空いていたので、向こう数週間は可能な限り親子3人で行ってみようかと思っている。水泳教室とかだと泳ぎが※●な自分はちょっと激しくアレなのだが、音楽教室なら昔取った杵柄、全然OKなので(といいつつ、今日子供と一緒にオルガンを弾いたら、指が全然動かなくてものすごく焦ってしまい、一人真剣にあれはまだできるか、これはまだできるかとやってしまった。日本に帰国したらいの一番で電子ピアノ買おうっと..)

Monday, September 12, 2011

Excel Add-inあれこれ

○久しぶりにエクセルの設定に四苦八苦したので二度と同じ苦しみを味わうことのないようメモ

○新学期の授業で計量経済の授業を履修するのだが、教授からFRED(Federal Reserve Economic Data)というとことが出しているエクセルアドインを初回の授業までにインストールしておくよう指示が出た。

*ついでに言うと、昔使ったことがあるにっくきeViewsなる統計ソフトも購入するよう指示された。またあれ使うのか!と軽くげんなり。しかも通常バージョンがウン百ドルで軽く焦ったが、無事学生バージョン$39を発見して安堵...

でさっそくFREDのページに飛び、アドインのzipファイルをダウンロード。どこに保存したものかよくわからなかったので、とりあえずその授業のファイルを保存しているフォルダにダウンロードしてみた。

解答して、エクセルを開いて、オプション→アドイン→Manage Add-InsでGo.
Browseを選び、さきほどのフォルダからFREDを参照。するとうまいことFREDがアドインリストに現れた。セキュリティアラートが出たが何も考えず続行を選び、エクセルを保存して終了した。

なんだ簡単じゃないか、あっさり終わってしまったぜと思ったのもつかの間、その直後に改めてエクセルを開いたら罠が待っていた。英語で、アドインの保存先がセキュアでないので一旦アドインの作動を停止したが、どうしますか?というダイアログが出た。なんだか面倒だなと思いつつも、続行。これについて、毎回聞かれるまでもなく続行するにはどうすればいいか調べてみたところ、
オプション→Trust Center→Trust Center Settings→Trusted Locationsと行き、そこで所定のフォルダを「Secure Folder」と認定してやればよいとのことであった。

とここまではよかったのだが、FREDを入れたその授業のフォルダは学期終了と同時にバックアップ用HDDに移管してしまう予定であったので、FREDだけはPC内部のHDDに移管しておこうと考えたあたりで割とトラぶった。FREDアドインをコピーアンドペーストでCドライブに移し、あらためて同様のアドインインストール作業を行ったのだが、先にインストールした「授業のフォルダに入っているFRED」が残ってしまっているため、「Cドラに移管したFRED」がインストールしてもうまくいかない。。。

そこで結構四苦八苦した挙句、アドインリストを開きFREDのチェックボックスを外してやれば、次にエクセルを開いたときにアドインリストからFREDが消えることが判明。そこで、アドインリストを開いてFREDのチェックを外し、エクセルを閉じ、授業のフォルダ内のFREDを念のため消して、Excelを再起動してCドライブのFREDを改めてインストールして、最後にそのフォルダをSecure Folderに認定。これでようやくExcelがFREDに関するアラートを出すことなくスムーズに起動するようになった。


○教訓

・間違ったアドインを入れてしまったり、変な場所に置いたままアドインを入れてしまった場合、チェックボックスを外すだけでアドインのインストールがなかったことになる

・アドインの入ったフォルダをセキュア認定することで、毎回セキュリティアラートダイアログが出るという状況から脱出できる

それはそうと、FRED、コードとか条件とかを入れれば、FEDのデータベースからパッとデータをExcelに持ってきてくれて、しかもその後の加工も色々できるようだ。Bloombergに繋がったPCみたいな感覚が得られそうでかなり興奮している。

*でもeViews買うのいやだなぁとしつこく繰り返してみる

Sunday, September 11, 2011

外と中

船中で暇つぶしにいろいろぼんやり考えたこと。ものごとを外から見ることと中から見ることについて。

○シアトルでは空港からダウンタウンまで電車で行ったのだが、途中のStadium駅とかその一つ手前の駅までは地上駅で、シアトルのダウンタウンの摩天楼がきれいに見える。そのうちダウンタウンに近づくにつれて駅も地下に入っていく。ダウンタウンの地下駅を出て地上に上ると、あたりはすっかりビル街。先ほどの摩天楼を見渡す感じの風景からは一変、都会の喧騒の中を歩くことになる。

LAのダウンタウンや他の多くの街もそうだが、繁華街部分を遠くから見ているときの見え方と繁華街の中にいるときの見え方は全然違う。外から見ていたときにはまず何よりも摩天楼が目に入るが、ひとたび街に入ってしまうと、通りにあるスタバとかその辺を歩いている女の子とか、気になるものが全く違ってくる。

○この「ひとたび中に入ってみると、見え方が全く違ってくる」という感覚。これ、他の局面でもよくある。

自分が入った高校とか大学も、あるいは就職した会社とか出向で行った役所とかMBAとかも、入る前の評判・神話みたいなものが結構あった。時間が経ち多少剥落したところはあるかもしれないが、依然としてそういった都市伝説的なものは消失はしていないと思う。

そういった世界に入るまでは、どうしてもそういった都市伝説のようなものに影響されてしまっていた。OB訪問などで、ネット等で聞きかじったステレオタイプを披露して「中の人」に心の中で苦笑されたことも多分よくあったのだろう。MBAエッセイなんか、本来は足で稼いだリアルな実態をもとに書くべきだったろうに、一部の学校はそういった浅薄な都市伝説をそのまんま書いてしまってあっさり落ちていたような気もする。

○ひとたびそういった世界に飛び込むことに成功すると、巷で言われているその多くが誇張か嘘かであること、中にいる人は言われているよりもずっと普通だったことなどがわかってくる。その結果、いくつかのメリットのようなものが得られるように思っている。

○その1:入る前はまるで異なる価値観の人の集まりだったり超人の集まりだったりするのではないかとびびっていた自分であるが、いざ入ってしまうと意外とみんな普通ということがわかった。普通の人たちが人よりちょっとだけ努力していたり人よりちょっと要領とか飲みこみがよかったりしているに過ぎないことが多い(もちろん例外的なすごい人もいるが、そういう人ばかりではないということがわかるだけでも大きい。また、すごくないというかしょぼい人も何人かはきちんと存在することもわかるし)。

そのため、そういう新しい世界に飛び込むたびに「意外とみんな普通なんだな」という感想を抱くことが多い。おかげで今では「きっと次の世界も意外とみんな普通なんだろう」と予想はできるのだが、やっぱりいざ実際に入ってみるまでは、その普通さを身をもって体感することはできない。

この「自分が多かれ少なかれ関心を持っていた世界が、自分が思っていたよりずっと普通の人々の集まりであることがわかる」感覚。「入る前には捨てきれずにいた幻想・神話・妄想のようなものが、中に入ることで剥落し、自然体でその世界を見ることができるようになる」感覚。

「人が思ったよりすごくないと感じて安堵する」というあたりちょっとひがみ根性的でイマイチ感もあるが、その安心感のおかげで不必要なびびりが取れてより自然体に行動できるようになる気がしている。具体的には、不必要なコンプレックスから解放されるとか、単にMBAであるというだけでこれまで畏れ多い存在であるかのようにビビっていたあの人を少しだけ身近に感じられるようになったとか、ちょい高めの目標に対しより自然に挑戦できるようになるとか。

○その2:中に入ることで、その現場でなされている細かい取り組みとか、中の人の苦労とかが見えてくる。

役所とかMBAとかは得てして批判を受けがちなものだが、そういった組織がおおむね外の批判を大体において理解していることもわかる(批判を消せていないという点において、誤解の解消をしていないか批判に向き合い切れていないといえるので、彼らが批判を完全に理解できているとまでは言い切れないが)。

結果として、ひとたび中に入ってしまうと、これまでは外からしか見えないことで言いたい放題言うことができていた批判のようなものが言いづらくなってしまう、あるいは誤解であることがわかってきてしまう。新聞やらネットやらで批判のようなものを読んでも、「まあ実態を踏まえると、批判の主旨はわかるけど事はそうも単純じゃないし...」とか大人びたことをつい思うようになってしまう。少なくとも、中の細かい事情を踏まえずに外から見える情報だけをもとになされている表層的な批判なんかはスルーできるようになってくる。

あるいは、逆に、自分が良く知らないことについて、批判が起きているが当事者がうまくレスポンスできていないようなことがある。たとえば政治とか、マスコミ批判とか。こういうことを「中に入ると色々ある」という自分の経験を通じて見ると、「おそらく何かしら事情があるのだろうな」「この批判はもっともらしいが、たぶん細かいが重要な何かを見落としてしまっているのだろう」とか考えるようになってくる。

あまり中の人の気持ちがわかりすぎても、既得権者にチャレンジできなくなってしまうというか同じ穴のむじなになってしまうというか、デメリットがあるとは思う。ただ、いずれにせよ、世の中の組織の殆ど全ては外からは見えないような小さいところにある問題が複雑に絡まりあってもがいているのであって、外から簡単に見て取れるような問題はそういったミクロの問題の結果に過ぎずそれを指摘しても何の進展も得られないことが多いのでは...という視点を持つことができるのはまんざら悪い話ではないと感じている。


○適当に書いていたらとりとめがなくなってきたので無理矢理結論を出してみると、

・中に入ることで初めて分かるものがあって、そういうものがわかるようになる結果、

①アウトサイダーとしては捨てきれない幻想を取り去ることができるようなり、自然体でその組織・世界を見ることができるようになる。その結果、色々メリットがある

→ので、とにかくその世界に入ってみた時点で、その世界に入ったことによりメリットのかなりの割合は達成されるのではないか、という仮説。「入るだけじゃ意味ない」こともないのではないかという話。

②中の苦労とかリアリティのようなものが見え、その組織さらには自分の知らない組織がかかるリアリティのようなものを忖度できるようになってしまう。

→その結果、ものごとを過度に表層的・一刀両断的に切り捨てる批判のようなものに対する批判的精神が鍛えられる。他方、批判を批判的に見ることができるようになってしまう結果、批判に鈍感になってしまったり、現状を過度に肯定してしまうようになったり、現状に問題がないか考えることをやめがちになってしまう懸念が出てくるのでそこはどげんとせんといかん。

→たまたま今自分はMBAにいて、MBAはケースなんか使って「ものごとを単純に見て、なにがしかの分析・結論を出す」という訓練をしている。ここであと一年しっかりやれば「常に現状をベストとせず考え続ける態度」とか「分析の切り口」のようなものは獲得できる(見込み)。これをあわせて、「中の苦労に思いを馳せることができる人でありたい一方、それでもあえて言うべきことは言うことができるような人」みたいな人を落としどころにしたいと思っている。


*こんなことを書いたきっかけは、シアトルの街の眺めが中と外で違ったことと、ツイッター等で色々な人が政治やら日本社会やらを実に気持ち良く切って捨てているのを見て「なんか違うんじゃ」と思ったことから。そういった問題意識に対する回答になっているかかなり疑問だが、船で思ったことを可能な限り丁寧にブログ上に再現してみた次第。またほかのMBA学生やら友人やらと話すことで考えもこなれてくると思うが、とりあえずのたたき台としてだらだらと書いてみた。

Saturday, September 10, 2011

アラスカクルーズ

○シアトルの港から、一週間のアラスカクルーズ。無事シアトルに帰港し、夕方まで再びシアトル観光をして、夜にLAの自宅に戻った。


・ホテルから港(Pier)までバスと徒歩で移動。Google Mapで見たらバス停からすぐっぽかったのでタクシーを使わなかったが、集合場所まで徒歩で来ている人など誰もおらず軽くやっちゃった感。まあ歩ける距離なので、タクシー代を節約できたので負けてはいないと思うことにしたい(が次はタクる)。


・ターミナルにて入船手続き。行程にカナダがちらっと入るのでパスポートとかビザとかで色々やられるのかなと思っていたが、「それはまたカナダでやってくれ」とのことで、その場ではパスポートとクルーズのチケットを確認されただけ。その他の書類(ビザに関連するDS-2019とか)は確認もされなかったので、あとで忘れたことが発覚して途中でトラブるリスクが残っているような。。


・で乗船。わりと狭くない部屋があてがわれて1週間。部屋の他は、いくつかあるレストラン・プール・デッキなどを往復する日々。船内での時間の潰し方は別稿に回す。


・行程としては、ジュノー、シトカ、ケチカンというアラスカの街のほか、カナダのビクトリア島に寄港。行く予定だったハバード氷河は、近隣の海域が嵐で座礁のおそれがあるとのことで急遽取りやめに。氷河に関して予備知識も思い入れも欠如していてしかも軽い船酔いが始終続いていた自分は「嵐を避けてくれて、船長グッジョブ」という感じ。妻は氷河を見たかったそうで、とても残念たがっていた。でもまあ、旅程が急遽変わるという出来事の方がレア感は高い気がするのだが、そういうもんでもないのかな。。ビクトリア島で入国手続きが省略されたのにびっくりするなど。これも詳細は別稿に。


・で、いくつかの街に立ち寄りつつ、一週間かけてシアトルの港に戻ってきた。UCLAのこだわり(あるいは怠慢かミスか何か)でビザが1年で失効してしまっている自分は「メキシコ・カナダなら短期滞在に限りビザなし再入国オッケー」という特例で米国に再入国。係員が心得ておらず事情を知る偉い人のような人が登場するという一幕こそあったが、基本的にはまったく問題なく(特例の現場への周知も進んでいて)再入国することができた。自分としてはこの「特例での再入国」が現場係員の無知によりトラブることを強く懸念していたので、非常に安堵。

←過度に懸念した背景:DMVで似たような「Jビザ生はSSN不要」という特例が窓口のおばちゃんに周知されておらず、しかも後ろにいたマネージャーも知らなかったため一度免許手続きで門前払いを食らったという苦い思い出が...


○という感じのクルージング。ゆったりとした時間を過ごせること・衣食住について最初に払った費用(プラスいくばくかの追加負担)だけで自由自在にできること・普段行けそうにないアラスカという地に行けたこと・船員との触れ合いなどは非常に充実していてとてもいい思い出となった。特に船員とかは一週間もいるとすっかり顔見知りになり、いつかまたどこかで会いたいななんて感傷的なことを思ってしまったほど。


しかし、船の揺れ・無限に続く暇・食べ放題の罠(食べ過ぎてしまう→気持ち悪くなる の繰り返し)といった要因により、少なからず、というかとても参ってしまった。これまで数回旅行に行ったが、帰宅後の「あーーーやっと家だ!!!もう当分家でゴロゴロしていたいな、こん畜生」的安堵感は今回の旅行がずば抜けて大きかった。お気に入りの曲の一つにJohn Hallの"Home at last"という歌(→リンク)があり結婚式のBGMでも使ったのだが、帰りのタクシーでは朦朧とした頭の中でこの曲が無限ループしていた。

*なお、この曲のビデオを探したときに気付いたが、このおっちゃんが所属していたバンドがあのOreansであった。"Dance with me" (→リンク)もこのおっちゃんの手で歌われていたのか。思いがけず2つのピースが自分の中で一つに繋がって軽い感動。そしてこのJohn Hallというおっちゃん、Wikipediaによればその後は下院議員にまでなったそうでこれまた驚き。ブログを通じて頭の整理だけじゃなく新知識が得られるなんて、ブログもやってみるものだなあ。


妻は「また是非クルーズ」というようなことを言っていて自分も「そうだね」とか調子の良いことを言ってしまったが、今の率直な気持ちとしては「もうおなか一杯です」という感じ。一週間強という日程の長さにも原因があるだろうが、とにかく疲れた。船乗りにはほんとになれないな、ということは非常によくわかった。

Friday, September 2, 2011

シアトル・アラスカ(2)

旅行2日目

○この日は終日市内散策。ホテルから歩いたら十数分でダウンタウン中心地。Pike Place Marketという大きな市場(アメ横みたいな感じ)にてスタバ一号店とかシーフードとかおやつとか。その後少しショッピングをして、夕方にはElliott's Oyster Houseという有名っぽい店でシーフード食べまくり。でホテルに戻って終了。

○シアトルの街は歩いていてとても楽しい。これまで行った街のなかではダントツ。ほどよい気温・清潔な感じのビルやアパート・そこそこ整った歩道・「人気のない一角」の少なさ・食事の美味しさ・人の感じ等々。こうやって文字に落とすと本当に些細なもので、どこだって同じじゃないかという感じになってしまうのが残念なところだが、こういった細かい要素の重ね合わせにより自分にとってシアトルという街がとても居心地の良い場所に感じられた。昔仕事でよく通った下関に雰囲気が似ているのも好感触をもっている一因なのかもしれない。LAは「将来こんなところで老後を過ごしたい」とは思うが、「こんなところで働きたい」というのはシアトルにささげるべき言葉かもしれない。

○気のせいか、LAよりも「短期留学生と思われる日本人の若者の集団」が多い。かなりの数の集団に今日一日だけで遭遇したような気がする。短期留学するなら、シアトルは確かにいい街かも。。。いかんせん留学したくなるような大学がぱっと思い浮かばないので長期留学は難しそうだけど。

○やたらベトナム料理とかタイ料理の店が多い気がする。なんだろ

○私費で留学している友人からインターンに関する朗報が届くなど。社費で就職面でさほど緊張感を持てていない自分にとって、こういった知らせは、嬉しいだけでなく自分の緩みきった心に少なからず喝を入れてくれる効果がある。ちょうどつい先日派遣元に留学終了後のキャリアについて自分の希望のようなものを提出したところでもあり、時計の針が止まっていないことを認識してちょっとだけアドレナリンが出た、ような出てないような...

Thursday, September 1, 2011

スポーツバー

アメリカの球場のスポーツバーが気にいっており、日本でも導入するとよいのではないかと思った件。

○球場のバーエリアは実に楽しそうで、日本の球場でも是非取り入れるといいのではないかと思った(たしか、広島の新球場には既にあったはず)。が、この妄想を一段掘り下げてみたところでなんかもやもやしてしまった。自分が球場にどのように関われば、その球場内スポーツバーエリア構想を実施できるのだろうか。影響を与えるために最も有効なポジションは何だろうか。ちょうど同時期、新内閣の「新大臣に素人が多いと言われる件」がネットで話題になっていたので、その件とスポーツバー構想が頭の中でシンクロした次第。

・候補①:球場プロジェクト、あるいは球団のトップ
そのようなトップの立場であれば、「スポーツバーは良いので、導入しよう」と言えばおそらく話はすぐ動き出すことだろう。しかし、それって、金融財政に殆ど専門性を有さない大臣がある日突然「相続税を廃止します」とか言い出したら、「殿ご乱心」以外の文脈以外で理解してもらえる可能性は極めて低いのと同じような話ではないのだろうか。当の本人としても、スポーツバー云々という話は思いつきレベル以上に煮詰めた提案をできそうにはない。仮に自分が何かの弾みで球団経営のトップに立ったとしても、果たしてスポーツバー開設という構想を思いつき以上のレベルで提示することができないし。
とりあえず、政治のアナロジーに戻ると、自分は大臣がトップダウンで新しい構想を推し進めることは必ずしも良いことではないと考える。大臣がその道の素人であればなおさらだし、仮に元財務官僚とか元なんちゃら政経塾出身とかケネディスクール出身とかでもやっぱり危険だと思う。ただ、トップが何かしらイニシアチブを取ることは当然必要だと思うので、何が思いつきとみなされて何がイニシアチブと認定されるのか、その辺りが気にかかる。

・候補② 従業員
アメリカ帰りの従業員みたいなポジショニングで、「社長、アメリカはこうでした」みたいな感じで上を説得するイメージか。
うまくいけばいいが、これだとトップの判断次第で実現しないリスク・自分だけではいかんともし難い部分がトップの場合よりはるかに大きい気がする。また、そもそも、そのような提案をすることができる立場になることができるかどうかも定かではないし。構想を実現するためにその会社の従業員になるというのはやや遠回りな気がする。
政治のアナロジーを試みると、日銀に入ったところでデフレ政策/リフレ政策等リードできるのはごく一部の幹部だけ、あるいは幹部でさえ無理なのかもしれない。

・候補③ コンサルとか
事情通のコンサルみたいな立場から、球場なり球団に提言を行うようなイメージ。
これはどうも、ものごとを達成するための手段としては一番遠回りな気がする。スポーツバー開設に伴うリスクリターンと利益関係がないというのが致命的にいけてないと思われるし。また、人助けに価値を見出すとかスキルを鍛えるとか将来のための貯金という観点でコンサルという職業を選ぶのは理解できるが、仮にスポーツバーとか何か特定のやりたいことがあるならコンサルではなく当事者になるべきだろう。

とかなんとか、旅行疲れのぼんやりした頭で妄想。とかなんとか考えていると、「トップのイニシアチブ」というポジティブなものと「トップの思いつき」というネガティブなものの違いがなんなのかよくわからなくなってきて戸惑っている。前首相が独断で脱原発を推し進めるのがNGで高橋是清の財政政策が偉業となるのはなぜか。結果がよければそれでいいのか、あるいは決定プロセスの丁寧さに違いがあるのか、等々。帰国したら霞が関在住の友人に聞いてみようかと思う、覚えてれば。また、自分が留学終了後、人々の意思決定プロセスにどのように関わればいいのか、あるいはそもそも関わっていいのか等、どうも考え出すと全然整理がつかない。

といった感じで全然まとまっていないのだが、本日時点での暫定的な結論は以下のような感じ。
やっぱりトップになるのがベストだが、スポーツバー開設のプロセスは
・ある日突然「スポーツバーだ」とか言い出して部下にその実施を丸投げする
という殿ご乱心的なものではなく
・スポーツバー構想を提示し、取締役会や従業員・株主等の合意を形成する
というような感じになるのではないか。うーむまとまらない。

シアトル・アラスカ(1)

○9月に入りシアトルに来ている。主目的はシアトルから出発するアラスカクルーズ。
*もちろん、船という密閉された環境にて、より集中して勉学に励むためのものであり、シゴトという位置づけです...嘘

○本日は初日。朝LAを発ち、2時間半ほどでシアトルへ。シアトル空港からは電車とモノレール(!)を乗り継いで海の近くのホテル(その名も地中海ホテル)にチェックイン。ホテル近くのメキシカンで昼食をとって、近くのスーパーで水とかおやつとかを買って、ちょっと気絶して、その後セーフコ・フィールドにてマリナーズ対エンゼルス戦を観戦。イチローの2塁打を見て喜ぶなど。

○マリナーズの本拠地であるSafeco Field。マリナーズの戦績や気温が寒いからか客足はかなり寂しい。自分達がオンライン予約したライト裏の席もがらがらで、結局予約した席には座らず、空いているところをかなり広々と使うことができた。大丈夫かマリナーズ。

・そんなお寒い感じの球場であったが、バー席(正式名称不明。バーカウンターの近くのスペースにて若者がバーっぽく立ち飲みしながらワイワイガヤガヤやる感じの席。もちろん野球も良く見えるだけは大盛況。寒いのに、Tシャツ一丁の男女が楽しそうに冷えたビールを飲んでいる。風邪ひかないのか...