Thursday, September 29, 2011

2011 Fall

先週の木曜日に始まった学校。とりあえずいくつか授業を受けてみたり、自由研究のための日程確保を考えてみたりして、ようやく落ち着いたのでメモ。

Business Forecasting:

データ分析、あるいは計量経済学の基礎だが、教授によると主眼はデータから考察を得るための訓練とのこと。
解釈、あるいは解釈しやすいデータ作りといった部分に重点を置くとのことで、分析手法の習得それ自体がメインではないみたい。マクロ経済データを主なお題としつつ、昔の職場で使っていた懐かしの統計ソフトEViewsでガンガン分析を進める授業。個人的に気に入っているのは、データの取り方についても割と重点が置かれていることと、どう説明するか切り口を考えるところから考えろという教授のスタンス。

この教授は経済学部出身で、どうも何かの弾みでたまたまMBAに来てしまったような感じ。なので、MBAの「授業で習うフレームワークを無批判にあてはめる」という方法論が気にいらないご様子(自分も気に入らないので、教授のそんなところが気にいった)。宿題も、データを料理せよというものだけではなく、「○○という仮説の是非について検討したいので、データを適宜料理した上で是非について意見を述べてみよ」とかで、データ処理自体はたいしたことないがなかなかどうして知的刺激は少なくない。

運営も気に入っている。というのは、チーム編成を任意ではなくアットランダムにするという点と、個人課題が多い点。超個人的な意見で修正余地は大いにあると思うが、チーム組成能力が成績に関連してしまうのはあまりフェアではないと感じているのでアットランダムチーム編成は歓迎。もちろん、集団の中で自己アピールやら政治やらを駆使してベストメンバーを集めるという経験それ自体が貴重であることは強く認めるが、それが成績に影響するのはかなり納得がいっていない。今のところ運と縁に恵まれて任意に組むことができるElectiveでは全てAをもらえているが、それでも、人選とかチーム組成能力が成績に反映されるべきではないと考えている(ので繰り返しになるが教授の運営に賛成)。


Entrepreneurial Finance:

コックラムという名物教授による授業。事業運営にあたり、経営者が理解しておかないとならないファイナンス周りの知識を総括するというもの。主には資金調達がトピックで、最初は運転資金を扱っていてだいぶ地味(A社がオペレーションを受注生産から計画生産にしたら、コストは減るが運転資金は増えそう。さてトータルではどう考える?→Pro Formaを作って予想増加運転資金を計算して、みたいな)。今後は「銀行借り入れか社債発行か」とか「短期借入か長期借入か」とか「負債かエクイティか」とか「リースか借入か」とか「火事場の凌ぎ方」とか。

一応本職は銀行員で(ほとんど銀行的な仕事やったことないけど)、営業の立場にいたときは資金調達する側に立って考えたいもののイメージが湧かない...みたいなフラストレーションがあった。なので、こういう資金調達する側に立ってあらゆるファイナンス手法について比較検討するような授業は、なかなか面白そうで期待している。

ただし、運営面ではこの授業は超きつそう。遅刻厳禁、骨が折れても休むな、聞かれたこと以外答えるな、チームの連帯責任でParticipationが2/3のウェイト、等々。そしてHBSを出たいわゆるシリアルアントレプレナーである教授にたゆとう「俺は正しい」という有無を言わせない雰囲気。しかもグループが今のところしっくり来ておらず、どうも不安な感じ。しかも今日は中国人の女の子が我々に勝手にその子と自分とまた別の台湾人の女の子が新しくチームを組んだかのようにTAに連絡していたことが発覚して揉めたり。文句を言ったら「そういうことならオッケーよ、No Problem」と言われてムカっときてしまった。お前がProblemだよみたいな。。


Valuation


その名の通り。コア授業でも一通り「WACCとは」とかは扱うので、この授業は半ば無理くり論点の深掘りをする。一回でた限りでは、実務で一度でもバリュエーションに直面した人ならかなり楽しめそう。教授が特に実務経験豊富というわけでもなさそうなのが残念だが、とりあえず実務上気になっていた点について教科書的な考え方をバシッと教えてくれるので満足できそう。でもやっぱり、取り扱うことについて理解はできるが、モンテカルロシュミレーションとかリアルオプションとか、やって損はないがそれ以上のメリットもないような気もしている。絶対現場で使わないような。。。

ロジ面では、宿題が一発が重いものの2回に一回くらいしかないのでやや助かる。最終レポートが大変みたいだが、まあそのくらいは頑張る。気持ち的にはこの授業は楽したくて履修したつもりだが、勘違いだったらどうしよう。

ところで、バリュエーションの細かい話について日本人の友人に聞くと得てして「そんなの現場で使わない」という答えが返ってくる一方、割と親しい欧米元投資銀行組の外国人友人は日本人が使わないと言ったようなことをちゃんと現場で使っているようだ。具体的にはDCFもAPVも彼らは馬鹿にせずちゃんとやっているようなのだが、その辺日本と欧米で温度差のようなものがあるのかしら?この春とある投資銀行のFICCでインターンした台湾人の友人によれば、投資銀行のオフィスには「ガッツ系」の人と「数学系」の主にインド人というまったく異なる2つの人々がいたそうなのだが、なんとなくそれとこれとをなぞらえてしまう。


Takeover

バリュエーション応用編といった感じで、シナジーの見積もり方とかM&A関連の専門的な論点を扱う授業らしい。
今のところは面白い。ケースディスカッションも、教授がしっかりイニシアチブを取っていて、他の授業みたいに「時間を潰すためだけにやっているのではないか...」みたいな不毛感がなくて良い。敢えて言うなら、教授のリードがやや強すぎるかもしれない。答えのない問題を扱っているとか言っておきながら、教授の意に沿わないコメントをするとYes, butではなくBut...と反論するのはご容赦願いたいところである。あと、配ったスライドのうち半分以上をスルーしているのだが、そこは自習すべきなのかスルーしていいのか気にかかる。

・(ボツ)Corporate Entrepreneurship
内容は面白そうだった。できあがっちゃってる会社にイノベーションを取り戻すためにはどうしよう、というテーマは興味を大いにそそるところ。ただいかんせん教授のレクチャーが退屈だったのと、スケジュール繰り上うまくハマらなくなってきたので撤退。リーディングをたくさんもらっているので、これを読むだけでも楽しめそう。「読むだけでなんとなく楽しめる」度合いはこういったソフトスキル系でしかもあまりプラクティスをしない授業が一番高いと思う。

・(ボツ)Real Estateどうしたこうした
不動産ファイナンスをさわりつつ、金融市場・中央銀行・証券化市場等について概観するという授業。いわゆるFixed Incomeな人々にはたまらない授業のはずで、自分も大いに興味があったのだが、日程が噛み合わず泣く泣く撤退。


・総括

こんなにコーポレートファイナンスっぽい授業ばかり取りたくはなかった気持ちもあるのだが、ただ今学期の主眼は自由研究にしたいので、多少なり貯金のあるファイナンスや経済系の授業で固まったことはまあやむなし。でもまあ実際受講してみると、やはりファイナンス系の授業はマーケティングとかよりしっくり来て楽しい。ごく自然に発言もできてしまうし。

あと、先学期に引き続き、結果的に日本人と重ならなかったことはラッキー(ゼロではないが)。やっぱり色々頼ってしまったりするので、個人的にはいない方がちゃんと頑張れる感じがするので良いように感じている。

さあ今学期も一丁頑張ろう。