Monday, January 9, 2012

上級会計メモ(1) ~パーチェス法ほか~

1. パーチェス法まとめ

・買収価額=ネット資産の時価+のれん(日本語だとよみずらいので(『~ののれん』と”の”が重なってしまう)GoodwillなのでGWと表記)。ネット資産の時価評価が主で、GWは単純に残差と捉える。

・無形固定資産。研究開発費等はUSGAAPでは一括費用計上されるが、買収時にその価値が評価されたのであればその分を無形固定資産として計上する。過去のM&AでGWが存在する場合、その過去のGWは新しくできるGWに統合される。

・繰延税金負債。課税標準額が$10しかないのに、新B/Sに計上する時価が$110ある機械があったとする。残存価格をゼロ、税率を40%とすると、最終的に、タックスシールドは$4しかないはずなのに会計上$44のタックスシールドが計上されてしまう。そのため、両者の差異$40を繰延税金負債として計上する必要がある。買収時の時価評価により発生する一時差異を埋めるための措置。なお、負債増はすなわちGWの増加に等しい。ただし、過去のGW及び仕掛R&Dはステップアップ(最初の人にとっての取得原価ではなく、今回の買収時点での時価に継承価額が変更されること:過大な税負担が発生することを防ぐための措置)が適用されるので繰延税金負債も発生しない。

・GWは償却はされず、必要に応じ減損が適用されるだけ。すなわち、買収価額が一定であるとき、可能な限り多くの金額をGWに計上することで利益は嵩上げされる。
<追記>アメリカでGWが償却されないようになったのは2001年から。


2. 買収経験者による買収ってリターン高いの? → そうでもない。成長意識しすぎて払い過ぎるベテラン買収者も。

3. J&JによるSynthesの買収:なんでStock Deal?なんで潤沢なキャッシュ使わない?
→帳簿上存在するキャッシュだが節税の観点等から世界各地に分散されており即座に引き出せない。
(節税のため海外で利益を認識した陰の部分として、BSの見た目よりJ&Jの流動性が良くないということ)

4. AICPA (会計士協会)の2011年コンファレンスで出た論点

・弱い経済情勢に伴い、いくつかの会計上の問題に注意する必要。具体的には、
年金積立不足や前提の見直し
繰延税金資産(減損有無は、経営者の損益見積に連動する恣意性をはらむ)
ソブリンリスクに関する透明性確保
公正価値(第三者評価機関があったとしても、評価を鵜呑みにしては駄目で、責任は資産保有者にある点留意)
海外に滞留するキャッシュ(流動性が見た目より悪くなるという問題)
為替リスクとヘッジ(ネッティング結果のみならずグロスで表記せよ)

・USGAAPとIFRSのコンバージェンスについて。具体的には、
リース会計(全部オンバランスになる?)
収益認識タイミング
減損
金融商品(ネット建てか否か)