1. JPMによるシアトルのMtual Fundの買収の記事。
JPMは、買収の際、傷んだローン債権を25%ディスカウントで購入した。しかし買収後返済が進捗したことから、JPMはディスカウントしていた25%に相当する$29Bを利益として計上した。
→パーチェス法においては、買収した資産が買収後に価値を取り戻した場合、それが丸々買収者の利益となる。
2. FAS141Rに関連する各種ルール変化
・買収等に伴う各種フィー:これまでは買収総額に含まれていたためGW嵩上げ要因になっていたが、今後は費用として一括計上。
→GWは抑制される方向に。
・仕掛研究開発費(IPR&D):これまでは一括費用計上だったが、今後は(1)仕掛中の間は償却されない資産として計上されて、(2)開発完了後は、一定の期間で償却する。
→GWが嵩上げされる方向に。
・コンティンジェンシー資産/負債:買収後何らかの条件下においてのみ発生するような資産負債は、これまでは実際に発生するまでスルーされていたが、今後は買収時点で時価評価する。
3. FASB 146 撤退費用の計上について
・企業がリストラ等を計画するとき、撤退関連費用は事前にある程度見込むことができる。
・この「事前に見込まれる撤退関連費用」、昔はリストラを計画した時点で負債として計上することができた。
・それを悪用する企業が出てきて、その代表例がワールドコムだった。ワールドコムの主要な粉飾手法は費用計上すべきであったラインコストを資産計上したこと(一括計上すべき費用を償却費のみとして利益を水増ししたこと)だが、そのほか、上記「見込まれる撤退費用引当金」なる項目に適当に数字を入れて、事後的に「そんなにリストラに金かかりませんでした」と言って負債を消して利益を計上するという利益隠しも行っていた。
・このように、リストラ引当金(撤退費用)を計画時点で計上することは利益隠しの温床となる。
・そのため、FASBにより、リストラ費用はそれが実際に発生するまではその計上を認めないことにした。また、その形状は公正価値によるものとする。