Saturday, May 5, 2012

借金の算数(3)

■ 契約手数料や解約ペナルティがあるときの実質利率って?

同じ金利4%のローンでも、契約手数料2%を取るようなローンと、契約手数料がないローンではその負担が異なる。この負担の違いは、実効金利というものを使うことで数字に落とすことができる。

例えば、5年後に解約を検討しているときに

ローンA: 元本3千万円、金利3%、20年、毎月元利均等払、契約手数料も解約手数料もゼロ

ローンB:元本3千万円、金利2.75%、20年、毎月元利均等払い、契約手数料1.5%、解約手数料2%

の二つを提示されたとき、どうやってどっちのローンがマシなのか検討すればよいのだろうか。

<考え方>

・実効金利とは、契約手数料や解約手数料を考慮した上で計算されるローンの利回りで、RATE関数で計算される。RATE関数には、元本、解約時残高、支払回数、毎回の元利返済額を入れる。

・たとえば、RATE関数にもともとの元本と5年後の元本(解約時元本)を入れると、契約金利が出てくる。

・ここで、RATE関数に、元本の代わりに元本-契約手数料を、解約時残高の代わりに解約時残高+解約手数料を入れると、これら手数料を考慮した上での実行利率が出てくる。

・計算したのが下記のテーブル。これによると、ローンBの方が金利は低いものの、手数料があるせいで実効金利が高くなっていることが示されている。

・こういった手数料が入ると、実際の負担額は当たり前だが金利が示す金額より増加する。なので、銀行担当者に実効金利の計算を依頼したり最寄のFPなどに頼んだり、あるいは自分で計算して、ちゃんと実効金利を見てからはじめてローンAかローンBか選んだ方がよい。

・また、場合によっては、手数料を多く払えば金利を下げてもらえたり、その逆にすることができたりと、借り手にとっては手数料の存在は交渉余地の存在に他ならない。条件が金利しかなければ交渉余地は小さいが、手数料が入っている場合はチャンスと思い積極的に交渉するのが良いと思う


ローン1
元本 30,000,000
契約手数料 0% 0
元本-手数料 30,000,000
契約金利 3.00%
契約年数 20
毎月元利返済額 166,379 (*1)
解約年 5
解約時残高 24,092,630 (*2)
解約手数料 2% 481,853
解約時支払総額 24,574,483 
実効利率 3.33% (*3)
ローン2
元本 30,000,000
契約手数料 1.5% 450,000
元本-手数料 29,550,000
契約金利 2.75%
契約年数 20
毎月元利返済額
162,650 (*1) 
解約年 5
解約時残高 23,967,684 (*2)
解約手数料 2% 479,354
解約時支払総額 24,447,038
実効利率 3.43% (*3)
*1 PMT( 金利÷12, 年数×12, -元本)
*2 FV( 金利/12, 解約年*12, 毎月返済額, -元本)
*3 RATE(解約年*12, 金利/12, 月返済額, 元本-手数料, 解約時支払総額)


Friday, May 4, 2012

持家vs賃貸 (2)

先日授業で持家と賃貸の経済性について比較するケースを取り扱って以来色々と考えてきたことの整理

● はじめに(Disclaimer)・・・経済性が全てではない

以下では、「アメリカはともかく、日本に限定して言えば、おそらく経済性の観点では賃貸の方が有利だと思う」という議論を展開する。しかし、自分は「経済性がすべての判断の最大かつ唯一の判断根拠となるべきである」と言っているわけではなく、単に「他の要素を一切無視して、経済性だけ見たとすれば、たぶん賃貸の方が有利」と言っているだけで、「他の要素を考慮するあなたは間違っている」と糾弾しているわけでは全くない。

家を所有する喜び、大きな買い物をするということ自体の喜び、自分の好きなようにカスタマイズできる便利さ、etc。こういったものは間違いなく持家購入に人を誘導する重要なファクターであり、できることならこういった要素も数字で考慮できたらどんなに良いことかと思う。しかし、ここでは、こういったものは「とりあえず」無視して、経済性にフォーカスして議論を進める。

なので自分の立場を言い換えると、「いろいろな要素があるのは承知しているつもりなので、自分としてはとりあえず経済性についてだけ論じてみると、おそらく賃貸の方が有利」という立場である。

また、後述するが、自分が今住むLAは、日本と比べると持家有利・賃貸不利の土地である。なので、自分は無意識のうちにLAと比較することで日本の賃貸が有利であると感じている可能性があり、それが記述に偏向をもたらしている可能性があるがそのときはごめんなさい。




●ざっくり考えるなら・・・月間費用モデル(真の持家コスト=ローン返済額+10万~15万円)

・まず賃貸では、毎月発生する費用は基本的に家賃だけ。共益費とかの名目でいくらか追加的に取られることもあるが、ここではそういったものを全て家賃にひっくるめて考える。そうすると、月の負担額は

負担額 = 家賃

となる。

・次に持家の場合、

毎月支払があるもの(実際にお金が出ていく)は、
①住宅ローン返済(元本・金利)
②保険料
③固定資産税が挙げられる。
また、定期的に発生するわけではないが、④修繕費も毎年結構な金額発生するはずだ。

まずこの時点で言えることは、「住宅ローンの返済額の方が家賃より安いので、持家の方が有利」という話は正確ではないということだ。②③④を考慮していないからである。

また、持家の場合、売却損が発生することは忘れてはならないと思う。たとえば4,000万円で買った一戸建てが20年後に売却したときに1,600万円にまで価値が下がっていたときには、売却損は(4,000-1,600)=2,400万円となる。トータル6割減だが、20年で上物の価値がゼロになってしまうという日本の相場観に照らせば、この6割減の例はさほど極端な例ではないと思う(※土地は減価しないので)。売却時までこの費用は顕在化しないので軽視されがちと思うが、これを「2,400万円の売却損を、毎月少しずつ負担する」というように考えてみるとそのインパクトがわかる。

トータルの売却損・・・2,400万円(20年)
居住月数・・・20年×12=240か月
一か月あたり売却損・・・10万円

一般化するなら、一カ月当たり売却損は
(売却損)/居住月数
となる。


つまり、2,400万円の売却損というのは毎月10万円の負担に等しい。この2,400万円の売却損は売却するその瞬間まで顕在化しないので軽視されがちだが、持家に住むということは、上記①~④の「実際に毎月支払うコスト」に加えて「支払は売却時まで先延ばしにしている、月10万円の隠れコスト」も同時に負担するということになるのだ。

なので、家賃と比較すべき、持家の毎月の負担額は
①住宅ローン+②保険料+③固定資産税+④修繕費+⑤売却損の月割り
という①~⑤の合計金額だ。自分は経験上家賃と①だけを比較して持家有利という結論を出している人を多く見てきたが、それは正しくない。

今住宅ローンの返済額が15万円であるならば、そのほかの②~⑤も含めた総額は、おそらく25万円~30万円となろう。自分の感覚では、持家に毎月25万円投じるなら、月20万円の借家に住みつつ毎月5万円貯金するのも悪くないと思う。毎月5万円の貯金=20年で1,200万円。老後に1,200万円余分に資産があるというのはかなり嬉しい。

また、「売却代金で住宅ローンが返せれば、それで問題ない」というが、それは資金繰り上追加でお金をかき集める必要がなくて良かったというだけで、損していないという意味ではない。仮に売却価額がローン残高を上回っていたとしても、売却損が出たのであればそれは厳然とした損失である。

※なお、アメリカでは、住宅価格の割に家賃が高いことと、売却価格があまり下がらず売却損が比較的少額で済むことから、住宅保有はわりと良い投資と認知されている。これは、住宅価格の割に家賃が低く、多額の売却損を覚悟せざるを得ない日本の事情と異なっている。日本と似たような環境の台湾出身の友人は、親が台湾の投資用住宅を売って、その金でLAに投資用住宅を買おうかとしているらしい。おなじ40万ドルでも得られる家賃が格段にLAの方が高いそうで、こちらの方がよほど投資になるとのことであった...

※上記の通り、持家の最大のコストの一つは売却損なので、売却せず死ぬまで住み倒すことで売却損を永遠に先延ばしにするという技(?)もある。もし死ぬまで住むのであれば、どんな計算をしても持家の方が圧倒的に有利になる。なぜなら繰り返しになるが売却損がとても大きいので。なので、確信をもって住む変えることなくひとつの家に住み続けると言えるのであれば、たぶん文句なしで持家にしてしまってよいと思われる。(ただし、長く住むことで発生する修繕費はあまり見ていない...)


● きっちり考えるなら・・・通年モデル

厳密に賃貸と持家の経済性を比較したいのであれば、できればエクセルを用意して、取得時から処分時(あるいは永住予定であれば、予想される死亡までの年数)までの表を作ってみるべきであろう。毎年のコストを列挙して、最終的にはそれを合算する。NPVを計算するか否かだが、将来の費用を軽視しないためにも敢えて割り引かない方が保守的で望ましいのではないかと自分は感じている。

これを作ると、たとえば「4,000万円の家に20年住んだ後1,600万円で売却した場合の総費用があれば、その20年間、家賃いくらの家を借りることができるだろうか」という検討ができる(ローンの頭金や金利・修繕費や固定資産税について丁寧に設定する必要があるが)。自分の試算によれば、4,000万円の家に20年住むだけのお金があれば、家賃20万円~22万円の家を借りることができる。あるいは、最初10年18万円の賃貸で我慢できれば、後半10年は25万円の家を借りることができる。

また、モデルを作れば、ローン期間を延ばせば伸ばすほど月々の負担は低減するがトータルの利払いが増加することなども目で確認できるようになる。20年ローンと35年ローンでは金利負担がとんでもなく異なるのだが、20年ローンにすると月々の返済額が多額になり家計が回らない...みたいなところのシミュレーションができる。






● 最後に・・・その上で、経済性以外の論点もできるだけ考える

価値観は人それぞれ。経済性以外にも無数に存在する家を買う理由あるいは家を借りる理由も、しっかり検討した方が良いだろう。経済性だけで判断を下すのも、あまりに人間味がない行動ではないか。

※個人的には、賃貸に下記のような「数字では表せないメリット」があると感じている。

・売却損を気にする必要がないので、不動産市況にあまり惑わされない。他のこと(仕事や趣味)に集中できる。
・家族のライフステージに柔軟に対応できる。子供が増えたら広い郊外の家、子供が独立したら狭い都心、etc。
・地方や海外への転勤転職にも柔軟に対応できる。
・子供の教育環境にも対応できる。優秀な学区云々、通学先の近隣、etc。
・万一所得が減少したときには、翌月からでも家のグレードを落とすことで費用圧縮ができる。
・今後日本経済が緩やかに縮小基調に向かうと考えれば、当然、家の需要も低下し、価格も下落する(金融政策次第だが..)

このように賃貸にはいくつかの定性的なメリットが存在するが、自分が市況を観察している限りでは、こういったメリットが家賃にオンされている形跡(持家価格に比べて家賃が割高になっている)は見られない。

ただ、経済性について間違った認識を持ったまま経済性以外の論点について考えるのは危険であるというのが自分の意見。

Thursday, May 3, 2012

ネゴシエーション(7) 論点を複数もつ

■ 実戦メモ(3)

3回目のネゴシエーションは、メーカーの営業部長と、スーパーの幹部が、新製品の取扱を巡り交渉するというもの。割引率、広告費の分担、棚の前列への陳列等7つの論点についてそれぞれ合意を形成するというゲーム。

「商品の陳列については自分はAだろうとBだろうとCだろうとあまり得点差はないが、相手はAだとものすごく加点がある...」という非対称性があり、うまく協調的になれれば、お互い譲るところは譲り、主張すべきところは主張することである程度win-winになれるというゲームであった。

ナパのホテルでやったこのネゴシエーション、残念ながら結果はクラス平均以下の得点となってしまった。

・「自分にとって重要な論点は主張し、そうでないところは妥協する」「複数の論点を結び付けてバーター取引する」等の基本的なアクションはできていたのだが、

・どうやら主張と妥協のバランスが悪かったようだ。見直してみると、ひとつ主張が通ったときに、嬉しさのあまり(?)2つくらいまとめて妥協してしまっているところがあり、そのためトータルで見ると妥協しすぎという形になっていた。

平均点に負けた悔しさのおかげで割と真剣に「どうして負けたのだ...」と反省したのだが、やはり色々と反省しうるとことはあって、

・できればそういうことは素面でやる

・自分は妥協しすぎ、情報出し過ぎにより損をする傾向がある。友人や家族に対して計算することなく接するときにはまだ許されるのかもしれないが、冷静に自分の利得を最大化すべきネゴシエーションにおいてはこの自分の傾向は致命的であり、常に意識し、抑制的であるべきである

・具体的には、自分の譲歩の度合いと、相手の譲歩の度合いが常にイーブンとなるよう、あるいは出し過ぎとならないよう、意識的に計算しないとならないだろう。




■ 複数論点を「つくる」


ところで教授によれば、この「論点が複数ある交渉」は、論点が一つしかない交渉と比較して合意形成がし易いという指摘があった。一つしか論点がないときはゼロサムゲームとなってしまいなかなかうまい落としどころが出てこないが、複数論点があれば「これは妥協するから、そこは俺の要求を呑んでくれ」というのがやりやすいのだ。

そんな話を聞いた丁度翌日の不動産の授業で、ゲストスピーカーとして来た人の話でまさにそんな話があった:

・ソノマで色々と不動産開発をやっていた顧客が、金策に窮してしまい、Ch11での再建を図ることになった

・が、債権者が複数いて利害が錯綜しており、下手するとCh7を申請して保有物件をたたき売る羽目になる。

・未開発の物件などもあり、現時点で叩き売るよりも開発してから売った方が明らかに良い地所とかもあるのに...

・そこで雇われたその人、債権者に話を聞いて回ると、多くの債権者が「回収金額の最大化」以外の関心をもっていることがわかった。「とにかく早く資金回収したい」とか「待っててもいいからたくさん回収したい」とか。

・そこでその人が仲介しつつ、Aさんには明日にでも資金を分配するが額面の50%、Bさんには支払いが遅くなるが残余額の全てを分配...というような感じで、全員が納得のいくような分配案の合意形成をすることができ、Ch7申請を回避できた



この話を聞いてピンときた。
「複数論点があるとネゴがやりやすい」と言う話はさらに一段階煮詰めて「ひとつしか論点がなさそうな状況でも、試行錯誤して複数の論点を作れ!!」という教訓にすることができるのだ。

・金額:多いか少ないか。

・支払時期:早いか遅いか

・支払方法:現金か掛け金か。一括か分割か。現物でもオッケーだったりしないか。

・その他諸々。

これは理屈というよりは実戦的なものであり、経験や勘が寄与するとことの大きいものであろう。相手がどのようなことにメリットを感じるか考えて、何か他のメリットを考えてあげて、それを与える代わりに自分の主張したい論点はきっちり主張させてもらうといった感じ。

これまであまり頭を整理したことがなく、「論点は少ない方がすっきりしてて良い」くらいに思っていたが、これからは意識的に論点をむしろ増やす方向でやってみることにしてみたい。

※ それにしても、履修から5週間ほどたつが、一向に夫婦喧嘩には勝てていない件。むしろ、変に習ったことを遣おうとすると「ちょこざいな屁理屈使っちゃってさぁ」とネゴシエーションテクニックを使ったことそれ自体を非難されたり。。ネゴシエーションすること自体がもたらすデメリット、ってそういや以前にブログにも書いたなぁ...

Wednesday, May 2, 2012

借金の算数(2)

■ 基本的なエクセル関数

・PMT関数:元利均等ローンの、毎回の元利合計返済額を計算する関数。

例:銀行に「1億円貸してくれ」と頼んだら、「5%、毎月払い、10年、元利均等払い」という条件を提示された。
このとき、毎月の支払額は

PMT(5%÷12, 10×12, -1億円)

で計算できる。


・PV関数:元利均等ローンで、ローン元本を計算する関数。

例:Aさんは、月々の資金繰りをベースにすると、毎月の元利払いが20万円になるようにローンを組みたいのだが、そうすると銀行は「5%、毎月払い、10年、元利均等払い」と提示してきた。このときの元本は

PV(5%÷12, 10年×12, -20万円)

で計算できる。


・FV関数:数年後の残高を計算する関数。

例:3,000万円・3%・20年・毎月払い・元利均等のローンを借りていたが、借りて10年経って、住宅を売るのでそれにあわせてローンも清算することにしたら、「清算時点での元本に対して3%の期限前返済ペナルティを頂戴します」と銀行に言われてしまった。このペナルティはいくらだろうか?

まず、元のローンの毎月の元利払いはPMT(3%/12, 20*12, -3千万円)=166,379円

で、10年目が終わった時点の残高はFV(3%/12, 5*12, 166,379円,-3千万円)=24,092,630円

で、これの3%がペナルティなので、ペナルティは24,092,630 * 3% = 772,789円。




■ Incremental Interest Rate(限界利率)

<状況>

・郊外の住宅を買うために、銀行から「3,000万円、3%(毎月払)、20年」という住宅ローンの条件提示を受けていた
・ちょうどそんなとき、高いけどとても魅力的な物件が別に見つかったことから、銀行に「やっぱり4,000万円貸してくれ」と頼んだ。
・そしたら銀行は「では、4,000万円・20年なら4%になります」と言ってきた。
・これをどう考えればよいか?

<計算>

・元のローンでは、毎月の元利払いはPMT(3%/12, 20×12, -30,000,000)=166,379円
・新しいローンは、毎月の元利払いはPMT(4%/12, 20*12, -40,000,000)=242,392円
・差額は76,013円. 年間支払額は、これに12をかけて912,156円
・追加のローンは1千万円で、この912,156円を割ると、追加分1千万円に対応する利率は9.12%.

<結論>

・新しい「4千万円・4%」のローンは、元の「3千万円・3%」のローンと「1千万円・9.12%」のローンの組み合わせ
追加的な負担は4-3=1%ではなくて、9.12%とけっこう高い
・住宅ローンならあまり関係ないが、もし不動産投資であれば、9.12%より高いリターンを得られる自信がないのであれば元のローンで我慢すべき

Tuesday, May 1, 2012

借金の算数

不動産の授業で、ローンに関して色々と論点が出てきて色々面白い。知っていたこと、今回知ったこと、あわせてメモ

■ アモチ償還(元利均等払)の計算

元本と利息を合算した毎回の支払額が一定となるような返済スケジュールのことを元利均等払いという。イメージとしては、

・毎回返済額は10万円
・最初の方は元本が大きいので、10万円のうち殆どは金利で、元本はあまり減らない
・最後の方は元本が大きく、金利が少ない

といったもの。この一定の支払額(元本と利息を合わせてDebt Serviceと言う)Xは以下の年金公式を使って求められる。

ローン元本A = X/(1+ローン利率r) + X/(1+r)^2 + ... + X/(1+r)^T
(Tは満期までの支払回数。返済が年に一回ならT=年数だし、毎月ならT=12×年数)

その辺の教科書を読めば年金公式は載っているが、自分としては、公式ではなく計算方法を理解した方がいいと思う:

A = X/(1+r) + X/(1+r)^2 + ... + X/(1+r)^T

A/(1+r) = X/(1+r)^2 + ... + X/(1+r)^(T+1) {Aを1+rで割ったもの}

上の式から下の式を引くと、

A (1- 1/(1+r)) = X {1/(1+r) - 1/(1+r)^(T+1)}

rA = X {1 - 1/(1+r)^T}

上記の式から、Xが計算できる。


ちなみにこの計算は、ExcelではPMT関数であっという間にできて、
X=PMT(利率、支払回数、元本)で計算できる。ただし、返済インターバルが年一回ではない場合、利率は返済期間における利率に調整しないとならない。


これにより均等償還額が決まるので、あとはそれを金利と元本に分解する。

・金利=前期の元本×利率

・元本償還分=均等償還額 -金利

計算が合っていれば、元本が満期のところできっちりゼロになるはず。


なお、社債は一般的にブレット型(期限一括返済)という方式で、満期になるまで元本は一切減らず満期に元本が一括返済される。このときの計算は簡単で、

・元本返済:最後に全部、それ以外はゼロ
・金利:常に元本×利率

となる。


■ DSCR (Debt service coverage ratio)

キャッシュフローがどのくらい元利償還額(Debt Service)をカバーしているかという指標。大雑把な定義は

キャッシュフロー / 元利償還額
というもの。

仮にサラリーマンのあなたが、毎月元利合わせて12万円返済する住宅ローンを組んでいるとする。
各種必要経費を引いたあとの給料の残りが15万円であった場合、あなたのDSCRは15/12 = 1.25となる。
金融機関が個人や企業などにローンを提供するときは、多くの場合、このDSCRが判断材料に使われる。すなわち、あなたの経費控除後月収が15万円で、銀行の許容DSCRが1.25であれば、銀行は元利払いが12万円となるようなローンはOKを出すが13万円となるようなローンはNGであるといった感じ。


■ Loan Constant (Mortgage Constant)

借金で一番メジャーな指標は金利 =利払い/元本 だが、実際には金利のみならず元本も返済しないとデフォルトということになってしまうことから、利払いの代わりに元本+金利を用いて計算するのがLoan Constant.具体的には

毎回の元利償還額 / ローンの最初の元本
で計算される。

なぜ毎期減少する元本ではなく、最初の元本で計算するのかというと、初期投資に対する収益性(キャップレートやROE)と対比できるようにするため。


■ Debt Yield

負債元本とキャッシュフローを比較するもので

キャッシュフロー / 負債の最初の元本
で計算される。

こいつとLoan Constantを比べることは、DSCRを計算することとほぼ同義と言える。

また、分母を負債のみならず負債+初期投資とすれば、それはキャップレート。
あるいは、分母を初期投資だけにすれば、それはROE(厳密にはROI)。