Sunday, February 13, 2011

日本の学生は勉強しない?

金曜日は一日中勉強した。

われながらよくもまあ一日中机にかじりついていられるなぁと感心した。それにしても、学部時代はあまり勉強できない体質だったのに、なぜ今は勉強できるのだろうか。成長したのか俺???
自分の考えでは、その質問に対する答えはNOである。おそらく、自分の「勉強力」(≒集中力、持続力、知的好奇心等々)は学部時代からあまり改善していないと思う。むしろ、変わったのは学校の教育方法の方だと思う。

ここで、選挙に落ちてアメリカに来ている某議員が最近主張している「アメリカの大学生は実に勉強する、日本の学生とは大違いだ」といった主張を思い出した。果たして日本の学生は総じてアメリカの学生よりも怠惰なのか?
自分はそうは思わない。

UCLAの教授は、理解を助けるために必要な予習課題や宿題をちゃんと学生に示す。やることを明示してくれるので、こちらとしても「今週中にXXXは理解して宿題を提出しなければならない」というTo Doが明確になる。その結果、その課題のために比較的苦労せずして机にかじりつくことができる。そして、その宿題をきっちりこなすと、その次の授業でやった内容が出てくるので理解がさらに深まる。極論すれば、日々ちゃんと宿題をやっていれば、「期末試験対策」なるものはしなくてもちゃんといい成績が取れるようにプログラムが設計されているのだ。

他方、日本の学部は(少なくとも自分がいた東大経済学部は)、こういった「学生の理解度を高めるための努力」があまりなされていない印象がある。少なくとも自分が受講した授業は講義して終わり、宿題等は殆どなしというスタイルが大半であった。これでは勉強しようにも講義ノートを漫然と読み返すくらいしか方法がなく、自然勉強へのモチベーションも高まらない。自然、勉強も期末試験前にまとめてヒーヒーいいながらやることになる。

ということで、自分は、日本の学生が仮に勉強していないとすると、その原因は学生本人ではなく学校の側にあると考える。以下のような施策を実行すれば、多分学生はすぐ勉強するようになる。少なくとも自分はここUCLAで人が変わったように勉強している。
①一人一人をケアできない大規模授業をやめる
②理解度を問う手段を期末テストだけにしない。期末試験一本勝負では、ゴールまでの途中経過のすべてを学生に丸投げすることになり、親切ではない。こまめに宿題や予習を課して、かつちゃんと採点して返却することで、小まめに学生に現在位置を確認させる(提出させてオシマイでは、フィードバック効果がないので意味がない)。

ちなみに、就職活動が大変であるということを勉強しない理由として指摘する人がいるが、就活は一因かもしれないが主因ではないと思う。上記のような「少人数授業+小まめな宿題」というシステムが整備されていれば、多少就活が忙しくても学生は勉強する。少なくともここUCLAのMBAでは、殆どすべての学生が、日本よりはるかに大変そうな就活と勉強を両立させている(させていなかったら、UCLAのDean's Listは社費学生ばかりになるだろうが、もちろんそんなことはない)。上記のような改革を実施した上でもなお日本の学生が勉強しなかったら「日本の学生は怠惰だ」という主張の妥当性が多少高まるが、少なくともそういった改革が実施されていない現時点ではそのような主張はかなり的から外れていると思う。