Friday, February 25, 2011

ダビデ

金曜日。いつもは授業がない日だが、今日は特別授業ということでNikeのマーケティング幹部がスピーチに来てくれた。イタリア人で、名前はダビデ。どこのルネサンスだよと。格好いいなぁ、俺も「始めまして、ダビデです」とか言ってみたいなとか。

今回はダビデが最近やったプロジェクトとして、W杯でのサッカーシューズのマーケティングの事例を聞かせてもらった。Nikeのマーケティングにおける考え方に始まり、実際にどのようなことをやったか、それがどのような結果をもたらしたか、簡単なTakeaway等々。マーケティングに苦手意識を持つ自分は聞き流しつつうたた寝する気満々だったのだが、思いがけず面白くつい聞き入ってしまった。隣に座ったマーケティング志望っぽい女の子に至っては、ノート数ページにもわたってメモを書きなぐっていた。

最初に「おっ」と思ったのは、前ふりとして登場したマーケティングの教授が、「本件、ハッシュタグxxxをつけてツイートするように」と言っていたこと。そして自分の目の前に座っていた女子が本当にツイートを始めたこと(PCでやっていたので丸見えだった)。何この最先端、と思ったが、今改めてそのハッシュタグを追ってみたところ会場でツイートしていたのはその女の子だけだったようで...

自分はそのノート子ちゃんやらツイート子ちゃんほどに多くのことを吸収できたわけではないのだが、特に関心したことは「我々は競合分析はあまり重視しない」といっていたこと。これはマーケティングの教授がダビデを紹介する際に「君たち、今日はダビデの話を通じて、いかに3Cや4Pが実務で使いこまれているか学んでくれ」といったことに対する一種の回答のようなもの。ダビデ曰く、「我々だってマーケティングの教科書は読んでいる。でも、我々はトップ企業だ。我々がすべきことは競合他社の戦略に対応することよりも、自社のとるべき戦略にフォーカスすべきだと考えている」とのこと。言うなれば、Just Do itということなんだろう。

これは腑に落ちた。そのあとこの言葉について考えを巡らせすぎたおかげで、その後の議論を少し取りこぼしてしまったほど。確かに、一般論レベルでは、競合分析をして、彼らの模倣をするなり差別化を図るなりした方がいい。ダビデだってきっとそんなことはわかっているはずだ。ただ、競合を意識しすぎると、自分たちのやるべきことのピントがぼける、あるいはやるべきことができなくなるということなのではないかと自分は理解した。

これはマーケティングや戦略論上の考え方として頭に入れる価値のある話であるが、これと同時に、自分のあり方にも応用が効くのではなどと思ってみた。つい周囲と自分を比較してしまいがちな自分であるが、周囲よりちょっと優位に立っていることがわかった途端に安心して油断して努力をそこでやめてしまう傾向があるように思われる。皆が60点くらいしか取れないテストであれば75点でも満足してしまったりとか、みんなOBを打ったホールだとパーオンした自分が3パットしても「ま、いっか」と思ってしまうとか。そこをJust Do it精神で、あくまで100点を追求したり、きちんと1パットバーディを取りに行く気概のようなものがあると良いのではないか、とダビデの話を聞きながら思いを巡らせてみた。