月曜日。Fixed Incomeの授業を受けて、来学期の履修科目について考えて、帰って夕飯食べて、また学校に戻ってTwitterのCo-FounderのBiz Stoneの話を聞きに行って。
・今日のFixed Incomeは個人的にはかなり良かった。自分が社会人一年目で携わっていた金利スワップがお題だったからということもあるが、知的に非常に興奮してしまった。
金利スワップの基礎に始まり、変動利付債の現在価値が常にパーであることについての(自分的にはとてもエレガントな)説明、Bloomberg画面等の実例、LTCMが多用したSwap Spread Arbitrageとそれが包含するリスク…と実にスムーズにスワップ絡みのレクチャーが進む。
次いで余談として、「俺がソロモンにいた頃のLTCMは...」とLTCMに関するリアル思い出話。教授がソロモン債券部門でトップだったのは1994~1998なので、1998年のロシア危機とかはまさにこの教授の実務家としてのキャリアの最後の大事件であったみたい(個人的な邪推としては、本件で発生した損失でソロモンを去らざるを得なかったのかなと)「あの日は誰もがパニックになっていた。スワップスプレッドが20bpsになり、30bps、40bps、そしてついに50bpsになり...そしてFEDから電話がきて...」みたいな臨場感のある語り口。無機質な折れ線グラフでしかないBloombergのグラフが、その説明によりものすごく血肉の通った生々しいドラマの一コマに見えてしまうから不思議なものだ。
そして極めつけに、「そんな彼らの取引について俺が実証研究してみたものがこれだ」と、教授による数年前発表の論文の説明が始まる。論文に読みなれていることは全くないのだが、今日の教授の解説を聞きながらの状況では論文が実にスムーズに頭に入る。この、イロハのイから新しい研究成果の説明までを一気通貫で説明してもらえた3時間は実に楽しかった。しかも、自分を含め多くの生徒が合間合間に色々な質問を投げかけるのだが、すべての質問について理論と実務のバランスのとれた回答を返してくれる。
これら全てが享受できたのは、たまたまこのLongstaffというおっちゃんが実務家であり研究者であり、かつ教育者であったから。今まで受講したUCLAの教授は皆概して教え方のうまい教育者といった感じであったが、このLongstaffは本物だと思わずにはいられなかった。尊敬してしまっている自分の目が曇っているのかもしれないが、ずっと大学にいた教授と比べると明らかに目つきも違うし。
という素晴らしいこの授業。TAさえまともだったら本当に完璧なんだけどな。
・Biz Stone. この名前でググると出てくる来日時のインタビュー記事と喋っていた内容はほぼ同じ(ただし自分の聞き取り能力はアレだが)。当たり前ながらツイッターについて何を聞かれても完璧に即答できていたことについては、どこぞの電力会社の社長にも学ぶべきところがあるのではないかと思ってみたり。
話を聞いていて思ったのは、最初の思いつき自体はほんとになんてことないレベルのものだなぁというもの。仮に「日常からビジネスの元となるような『気付き』をするゲーム」みたいなものであれば、自分とBizにさほどの差はない気がする。おそらく、自分と彼で差が付く勝負の決め手は、それをきっちりビジネスに落とし込めるか否かなのだろう。そのためには何が必要なのだろうか?経験?人脈?実行力?情熱の強さ?この問題意識を、来学期受講するEntrepreneurship関連の授業までキープしてもっていきたい。