Monday, May 9, 2011

アガリスク

月曜日。

・昼休みには組織論の授業の一環にてIDEOというデザイン会社の幹部の人の講演会。イノベーションを組織として実現し続けるための方法論が存在すると信じ、それを実践しているという彼のロジックは実績に裏付けされているものであり非常に説得力に富んでいた。スピーカーのおっちゃん、あまりデザイン事務所の人といった感じには見えなかったけれど..

ところで、聞いていた話を「この話をどのように勤務先やら、まだ見ぬ自分の会社に応用できそうかしら」と考えていて思ったこと:根拠ゼロだが、成功事例から学ぶのは失敗例を反面教師にするよりも数段難しい気がする。

成功事例の多くは状況など他の要因とのセットで成功につながっているものが多く、それだけを切り取って真似してもうまくいかないことがあまりに多い気がする(例:トヨタ生産方式を、トヨタ出身者が乗り込んでコーチしてさえもトヨタ以外の企業がモノにできない)。他方、失敗例はそこだけ切り取って「べからず集」に入れておくだけでも結構効き目がある気がするし、あまり他の要因を気にすることもなくとりあえずその失敗要因について参考にしてもあまり支障がない気がする。
「喫煙者の肺がんになる確率は高いので、死にたくなかったら煙草を控えろ」という失敗事例をもとにした教訓はそれほどの批判的考察なしでも受け入れることができるが、「長生きした人の多くがアガリスクを食べていた。実際、医学的裏付けもある。なので、アガリスクを食べるとよい」という成功事例をもとにした教訓は何かがおかしい気がする。
うまく言えないし、どこかの教科書に乗っていそうな話だが、失敗に学ぶことと成功に学ぶことの間には非対称性があるのでは、と講演を聞きながら感じた。


・授業はFixed Income。なんか気が付いたらずいぶん難しくなってきてきりきり舞い。マートンさんやらヴァシチェクさんやら何やらかにやらいろんな人が作った「金利予想モデル」の紹介があり、金利が負になることの是非がどうしたこうしたとか。自分が数学的難解さに知的快感を見出すことのできる知的好奇心の強さを持ち合わせていればさぞかし楽しい授業であったのだろうが、残念ながら今日は次から次へと繰り出される数式の嵐にノックアウトされた感じ。しかもM in FEではなくMBAなので、途中の数式とかは遠慮なしにすっとばすので結論の数式の成り立ちとかが全然直感的に理解できない。

紙を配るとかPPTを使うとか、せめて授業の内容が載っている教科書を紹介してくれ...授業が難しいこと自体は受容できるが、フォローアップの手段が非常に限られているのが辛い(含むTAのコミュニケーションやる気ゼロ)
でもまあ、こういった難解な事柄について安易にネットやTAに頼ることなく悶絶しながら試行錯誤することで、自分の頭がより一層Cultivateされるのかもしれないが。バリエーションやらといった応用科目を取る前に、こういった基礎的科目で頭を捻っておくことが良い経験になるのではと思い履修したこの授業であったが、期待以上に期待通りの展開になっているとでもいえばいいのだろうか。まあでも、あるいは、これまでの必修科目が緩すぎたのかもしれないけど(トップ校にはない緩さなのか、あるいはMBAなんてこんなものなのか...)