この間の週末、運転がてらラジオを聞いていてふと思った話。
自分が生まれる前から、"複数の音楽を組み合わせる"という手法はアーティストに広く普及している。
ロック+ジャズ=The Policeとか、ロック+沖縄伝統音楽=The BOOMとか。くるりとかクラプトンとかは、アルバムごとにロック+テクノとか、ロック+クラシックとか毎回アプローチを変えることがもはや芸風として確立されている。
ラジオで流れていたその手の「組み合わせ」音楽を聞きながら自分の今後の進路をなんとなく考えていたら、以下のような仮説を思い立った。なお、舞台は基本的に日本。
・日本において"ゼネラリストからスペシャリストへ"という動きが進んでいるというオハナシがよくあるが、高度成長期における多くの会社員は決してゼネラリストではなく、「勤務先特有の情報・スキル・文化」といったものを専門とするスペシャリストだったのではないか
・それゆえ、"ゼネラリストからスペシャリストへ"というよりは、重宝される専門性が社内固有スキルからより汎用的なスキルに変化しているだけではないだろうか。プログラミングスキルとか、デリバティブに関する知識とか。縦から横へ、みたいな
・しかし、IT等による仕事の効率化、情報格差の解消などが進展している結果、"デリバティブに関する知識"にしても"高い生産管理スキル"にしても、あるいは”ギターの腕前”にしても、単独のスキルをひたすら洗練させることで高い価値を発揮することは今まで以上に難しくなっているのではないだろうか
・そんな時代にあっては個別のスキルの洗練だけで強みを獲得することは極めて難しく、複数のスキルの組み合わせが鍵になるのではないか。英語も中国語も使えてかつエクイティ投資に関するスキルを有するとか、戦略やマーケティングを語れるエンジニアとか、ギターがうまいだけではなくジャズ等他の音楽に領空侵犯できる造詣の深さをもっているとか。
Value (Skill A and Skill B) - {Value (Skill A) + Value (Skill B)}、すなわちシナジー部分の比重が高まっていくのではないだろうか
・あえて型にはめる言い方をすると、かなりの職業において、
社内の文化・政治・人脈等に強みをつ社内スペシャリスト、あるいは「いわゆるゼネラリスト」の時代
→プログラミングとかトランペットの演奏とか個別のスキルが高いスペシャリストの時代
→2つから3つのコアスキル+幅広い経験と人脈をもつ新ゼネラリスト、あるいはマルチスペシャリストの時代
って感じにならざるを得ないのではないだろうか。
ロックを洗練させるよりも、ロックにジャズを混ぜる方が高く評価されるのではないか
・自分への教訓に落とし込むと
- とりあえず、自社固有のスキルを強みにすることだけは避けたい。どんなに勤務先がいい会社でも
- 30までに一つの専門性を磨いているIBとかコンサルの人とやりあうと、正直正面衝突では勝てない気がする。なので、このMulti-specialism路線でいくしかないんじゃないかしら。ゴルフだけなら絶対勝てないにしても、夜の麻雀までセットにしたらいい勝負ができるといいのだが
- 具体的には、2,3のコアスキルを磨く必要。ファイナンスともう一つ二つ。その点MBAは絶好。こんなこと深く考えずにLAまで来てしまったが、これはかなりの結果オーライ
- 特定のスキルに拘泥しない歯切れの良さ(?)を意識する。ゴルフだけではなく麻雀との合わせ技で勝負できるように。そういった複合戦に持ち込むための知恵(戦略?)も大事そう
- 過去(リスク管理→支店→経済分析)・現在(MBA)の自分のフラフラ人生、無理にでも多様性という文脈で強みに変えて、どうシナジーを出していけるか考えてみる(ここは昭和的精神主義で、無理でもやりたい...)。
とか。まあなんだろ、MBA風に言うなら、Vertical Differentiationはあきらめて常にHorizontal Differentiationを狙っていけという感じかな?この「単品で勝負するのではなくセットで」作戦、これも今後考えを煮詰めるリストに追加したい。