Saturday, June 11, 2011

ラスベガス・グランドキャニオン(3)

○グランドキャニオンの翌日はグランドキャニオンから数百マイル走ってMonument Valleyへ。グランドキャニオンとはまた違うというか、全然別世界。何十マイルも何もない道を走っているうちに赤茶けた地域になってきて、ぽつりぽつりと大きな岩が見えてくる。道もずっと真っ直ぐで、どこぞのCDのジャケット写真のような絵。


○Monument Valleyはナバホ族の居住区域で、その手前数十マイルにある売店からして従業員は全員見るからにネイティブアメリカンで強烈な異世界感。ちなみに、その売店のトイレ、どういうことかわからないが、小便器が背伸びしないと使えないほどに高くてびっくり(初体験の驚き)。別にナバホ族もそんなに長身には見えないのだが。見栄っ張りなのか?でもこんなところに見栄を張っても仕方がないと思うのだが何だろ?


○Monument Valleyもナバホ族が管理しているというか、彼らしか入れない区域があり、彼らが運営するツアーに参加しないと満喫できないようになっている(個人的にはそういう特権が逆に人をスポイルすると思うが)。ということで彼らのツアーに参加。2時間半ほどのツアーで、とんでもないオフロードをガタガタ進みながら色々な岩山のふもとを走るツアー。「象」やら「座る王様」といった岩山も壮大だったが、一番感動したのはその静けさ。暑いせいか、虫や鳥の鳴き声すら聞こえない。これほどまでの静寂は初めてかもしれないというほどの静けさ。ものすごく広大な区域にあって巨大な岩山に囲まれつつあたりは無音。これまで経験したことのないシチュエーションで、感動を通り越してなんだか怖くなってしまった。こういうところでエレキギターとかジャンカジャンカ弾いてみたらどういう気持ちになるんだろうか、とちょっと夢想。
ちなみにガイドカーは車内ではなく幌のないリアカーみたいなものなので、揺れに揺れる。また、砂が目に入ること入ること。ハードコンタクト着用で臨んだ自分と妻は1分に一回は目にゴミが入り苦労。


○道中に「今でも区域内に住む老婆の家」なるポイントがあり、99歳になる老婆が伝統的な家の屋内で伝統的な織物を織っているところを見学。ここは老婆が実際に生活する家なので、お邪魔する代わりに一人2ドルの「寄付」がstrongly recommendされたのだが、すぐそばに比較的近代的な家屋があってそこから出てきたおばちゃんが伝統家屋前で土産の販売をしていたこと・伝統的家屋があまりに展示館然としていて生活感に乏しかったことなどから察するに、このおばちゃんがここに住んでいるというのはオハナシに過ぎないのだろうなと。おそらくすぐそばの近代的な家に、もしかすると公園区域外の普通の家から「出勤」しているのだろうなと思いつつも、それはそれとして一人2ドルを一応喜捨。


○このMonument Valley観光、妻が事前に日本人によるブログから収集していた情報と実態が少し乖離していた。妻が見たブログによれば、観光案内所には多くの業者がたむろしていて、そのブロガーは定価20ドルのツアーを値引いて15ドルで楽しめたとのこと。しかし自分達が行ったときは、公園区域外にある自分達が泊まったホテル主催のツアー(大人50ドル、子供30ドル)と公園区域内にある案内所にいた一社によるツアー(子供無料、大人60ドル~)と、述べ2つしか選択肢が見当たらずしかもどちらもブログで見ていた価格よりずいぶん高い。そこで勝手な妄想をすると、もしかすると彼らはかつては過当競争状態に陥っていたが何らかの「話し合い」を経て現在では寡占状態にて得られる大きな利益を関係者で山分けしているのかもしれない。関係者は皆同じナバホ族なので、その辺の調整も難しくはなさそう。他方、ホテルについては、かつては今回自分達がとまった一件だけが公園近隣のホテルとして存在していたのだが現在ではそのホテルと公園区域内にできた新しいホテルの2社体制となっている。こんな地域に新しいホテルを建設するというプロジェクトがここ最近に実施されたことが驚きなのだが、結局こいつらは寡占したいのか競争したいのかどっちなのだろうと少し混乱。思いのほか需要が多いのでホテルをもう一つ作った方が彼ら全体としてもお得だったりするのだろうか。


○先日グランドキャニオンを見て思った「自然と人間」というテーマについては、ここMonument Valleyでは全く違う考えを抱かずにはいられない。グランドキャニオンは景色こそいいが基本的には人工的な公園といった感じで、舗装された道をバスでひょいっと移動するのがメイン(その気になれば谷底まで下りることもできるみたいだが)。他方Monument Valleyは完全なる自然のなかに車でお邪魔するといった感じで、人間の介在度合いがグランドキャニオンと比較して極めて小さい。人間がうまいこと自然の力を借りるというよりは、ただ単に自然の力が凄すぎて人間の存在が相当小さく思えた。グランドキャニオンだけ見て終わりにしないで良かった。これを見ないで自然公園を語るのはちょっとまずかったように思う。