Thursday, June 23, 2011

ファイト一発・捨てる技術

LA・フロリダ間の時差3時間にやられて眠れないので(昼寝してしまった)、来学期何を履修するか考えたりしつつ夜更かし。以下、とりとめなく、この1年間思ったことなどを列挙してみる:

○留学すると、つい逃げたくなってしまうこと、やらずに済ませたい気持ちになってしまう出来事が死ぬほどある。というか、厳密には、日本にいてもその手のことはたくさんあったのだと思う。もしかすると同じくらいあったのかもしれない。で、ちょっと背伸びして参加するということをやっていくと、2つの点でメリットのようなものがある。

①「ちょっと背伸びして参加する」ということに対する抵抗感が薄れ、「あ、いやだな」という脊髄反射が必ずしも「いやだから、やらない」にならず、「まあ、でも、一丁やってみるか」になるようになる。さらには背伸びすること自体に快感を得るようになり、「またちょっと背伸びしてみようかしら」と思えるようになり、自身のフロンティアが拡張する

②ちょっと背伸びして参加した結果、そのイベントが好きになり、次回以降は背伸びの必要もなく参加できるようになる

こうしたメリットを享受する結果、おそらく多くの留学生が「やったら良かったことをやり逃す過ち」を犯すことを少なくすることに成功しているのだと思う。数年間という時間と、アメリカという場所は、そういう変化をもたらすには絶好なのだと思う。おそらくシリコンバレーあたりに行くとその傾向はもっと強まるのだろう。

○他方、統計的検定論ではないが、「やったら良かったことをやり逃す過ち」があるのであれば、そこには同様に「やるべきではなかったことをやってしまう過ち」もある。留学前は「とりあえず何でもかんでもチャレンジしておけば良いのだろう?」と思っていたが、どうもアメリカ人同級生を見ていると、だいたいにおいてはオープンで進取の気風に富んでいるけど「これはNG」といったマイルールを持っている人が散見される。
居心地の良いところに安住しがちな自分としては「やったら良かったことをやり逃す過ち」を減らす努力をまず何よりもすべきとは承知しているが、一応、「やるべきではなかったことをやってしまう過ち」を増やさないようなバランス感覚を保持していく必要もあるのだろう。無制限になんでもGo!というわけではないがとりあえずGoしろ、といった感じでいくのがいいのかなと思っている。


○MBAの2年間では様々な知識を「手に入れる」ことが大事。それは確か。ただ、その一方で「何をやらないか決める」「何について力を抜くか決める」といった「捨てる技術」的なスキルもなかなかどうして大事。その点において、自分は社費で時間的余裕があったこともあり、あまり捨てずにやってしまっていたように思う。「とりあえず時間を十分に使って120%やっておけば、悪いことにはならないだろう」という発想。だが、実はこの2年間では、「きちんと捨てて、定められた時間でギリギリ満足できるものを作るスキル」も高めておかないといけないのではないかと最近問題意識を持っている。「これは捨ててもOK、あれはNG」といった肌感覚や、「必要がないわけでもないが、やむなく捨てる」といった割り切りや非情さについてもある程度訓練しておかないと、「近現代史をばっさり端折ってしまう歴史教師」とか「時間的制約があるにもかかわらず『残業してでも、徹夜してでも、気合でなんとかやってくれ』としか部下に指示を出せない上司」とかになってしまうのではないかと思案している。
問題はどのようにしてそのような「捨てる」訓練をするか。無理矢理ほかの用事を作って自身を追い込むということかと思うが、さてどうしたものか。