Monday, July 4, 2011

MBAの授業に求めるもの

ファイナンスは趣味として夏の間に家でやってしまおうと思った背景:

○MBAの授業だけで「5を10にする」というのはかなり難しい。来る前から諸先輩の話を聞いてそんな感触を持っていたけど、一年間の授業を終えた今、予想以上に「深さを求めるのは難しいな」という印象をもっている。

「5を7にする」ことはできるが「5を10にする」のは難しい。習ったことの中でヤヤコシそうなものを派遣元で披露したとしても、想定されるレスポンスは「おーよく勉強したね、でもそれなら知ってるよ」というものであり、「…???えうお、なんだかよくわからないけどすごいことやってきたみたいだね(戸惑い)」みたいなものにはならないと思う。ファイナンスばかり勉強していても「お釈迦様の手の中で、第2関節から第1関節に移動しただけ」となってしまいそう。先輩の話を聞いていたとはいいつつも「ファイナンススクールと呼ばれるUCLAでファイナンスを学べば、お釈迦様の手の外に突き抜けられるのでは..」などと淡い期待を抱いていたがちと難しそう。

*UCLA個別の問題であり他の学校(例:「Advancedなコースも比較的自由に取れまっせ」と謳っているいくつかのMBAプログラム)に行けば解決する問題なのかもしれない。
*UCLA個別の問題どころか、自分のやり方が悪い、という要因もあるだろうとは思う

なので、一事業ウン十万円という高コストに見合ったリターンを得るためには、「5を7にする」よりは「1を5にする」「0を1にする」「何から始めればよいかわからない五里霧中のレベルから、少なくとも独力で勉強できる中級者レベルになる」ことができるような授業を志向した方がよいのではないか...というのが一年間授業を受けての現時点での思い。

でも、1を5にしたり、5を7にするという意味ではMBAの授業はドンピシャだと思う。すなわち、「他のMBAと会話できる程度の基礎知識が得られれば十分」と言う人や「とっかかりだけ教えてくれれば、あとは自分で必要に応じて深掘りするから」という発想で臨むのであればMBAの授業は実にすばらしいと思う。そこから先は仕事場あるいはPhDコースでやりますという割り切りを最初からできていれば、もしかすると自分が一年を終えて感じてしまった物足りなさは生じなかったのかもしれない。


○また、「5を7にする」的授業はとても楽しいが居心地が良すぎた。ちょっと知っている内容が出てくるたびに「あーそんなん知ってるよ」と調子に乗ってiPhoneでFBとか見ている自分が痛かった。適度の成功体験・適度の自信は必要だと思うが、ファイナンスばかり勉強しているとものすごく中途半端なレベルで慢心してしまうそうな気がする。


○幸いなことに、周囲に手助けしてくれる人がわんさかいる。選択科目でふたつファイナンスの授業を取ったが、どちらの教授も質問はいつでもなんでもウェルカムということだしTAの一人もそんなことを言ってくれた。また、実務の観点からのコメントが欲しくなることもあるが、そういうときは派遣元で働く同期先輩後輩や同業他社で働く友人にメールをすれば大抵かゆいところに手が届く感じで教えてくれる。なので、この趣味としてのファイナンスというものを、この夏は大いに楽しみたい。敢えて言うならちゃんと楽しむためにはここ1,2週間の序盤できっちり巡航速度に乗っておきたい。楽しくやったら夏休みトータルで30ページしか読めませんでしたってのは寒いので。


○この、「10には到達できない」という点においてMBAの授業を軽視し「ディスカッションで揉まれることやクラスメートとの日々のコミュニケーションがこそ重要」みたいなことを言う人がいるが、それについては自分は残念ながら賛同することはできない。そのあたりについては後日書いてみたい。