自分(LP)としては100しか投資していなくても、ファンド(GP)が別途レバレッジを使った結果、レバレッジを使わなかったときと比較してIRRが高く出る。
実際問題、レバレッジのおかげで投資家のリターンも高くなっているという意味においてはレバレッジを割り引いて考える必要性は薄い。ただし、仮にIRRを見る目的がそのファンドマネージャーのトラックレコードを見るといったときは、その人の成し遂げたIRRを、「レバレッジのおかげ部分」と「それ以外」に分けた方が実力がより鮮明に見える。
※もちろん、レバレッジを効かせるのも実力のうちなのだろうが。。
5. 問題点(5) ベンチマーキングするか否か?
4.のレバレッジと同様、例えばマーケットリターンなどとベンチマーキングすることで、そのファンドマネージャーの実力を抽出することができる。
実力=トータルIRR - レバレッジのおかげによる部分 - ベンチマーク部分 みたいな感じ。
6. 問題点(6) 複数のプロジェクトをどうまとめて評価するか?
こんな感じで、2つのプロジェクトを異なる期間にわたり実行しているファンドのトータルのリターンをどう評価するかという話。
Year CF1 CF2 1 -10000 2 15000 3 10000 -1 4 2 5 3
色々な方法がある(なお、ここでは一旦MIRRは封印):
i) 個別のIRRを取って、平均を取る
IRR(1)=100%、IRR(2)=200%。なので、平均=150%。
しかし、10000を15000や10000にしたプロジェクトと、1を2にしたプロジェクトを同列に扱ってよいのだろうか?
ii) 加重平均を何らかの形で取る
例えば初期投資で加重平均を取ると、加重平均IRR=100.01%になる。
iii) キャッシュフローを合計する
二つのキャッシュフローを合計すると、(-10000, 15000, 9999, 2, 3)というCFになるので、これについてIRRを取ると、100.003%となる。
しかし、こうやって計算すると、万一途中に1つ以上負のキャッシュフローが出てくると問題が出る。すなわち、IRRが複数存在してしまうので(2次以上の方程式となるため)。
複数の解が存在するとき、そのどちらが適正なIRRか断言することはやや難しい。
iv) Time-zero IRR
全てのプロジェクトが行われた瞬間をゼロとして、実際の年月ではなく時点に置き換えてプロジェクトを再配列する。
Year CF1 CF2 1 -10000 -1 2 15000 2 3 10000 3 4 5
この合計についてIRRを取る。
個人的には、加重平均かこのTime-zero IRRが良いと思うが、加重平均は何を以てウェイティングするかという問題があるので、Time-zero IRRが一番ましであるように思う。