・選択科目として受講している"Pay and Reward in Organization"。 目下の問題意識は
「派遣元の報酬システムはイケてるのか、イケてないのか、改善の余地があるならどこか」
「将来、投資先に人件費周りのアドバイスする際の基本的な考え方はどのようなものか」
「将来、ファンドか何かを立ち上げたとき、どういう報酬システムを設計すればよいか」
「いわゆる外資系金融機関の報酬システムは本当に合理的なのか(自分の派遣元の報酬システムが完璧とも思わないが、彼らの報酬システムが完全にワークしているともやはり思えない一方で、具体的になぜそう思うのかよくわからないので)」
といったもの。
法制度や諸ルールなど、アメリカにいないと理解しきれない専門用語がしばしば出てくるのでなかなかしんどいのだが、そのエッセンスのようなところはかなり参考になる。まだドロップアウトのオプションは排除していないが、向こう当面は頑張っていきたいと思っているところ。
・備忘として今週のエッセンスを整理しておく。
■目標設定は、絶対的な指標ではなく、相対的な指標を用いるべし
→「年間販売台数100台」等絶対的な目標よりも、「前年比20%増」といった相対的な目標の方がインセンティブを損ねないらしい。
→これだと、たまたま11月くらいに前年比20%に到達してしまった人とかが、12月に稼ごうと思えば稼げた利益を何らかの手段で翌年に回してしまうインセンティブができてしまう気もするのだが...絶対的指標のデメリットよりは相対的にマシということなのかな
■ 個人単位でパフォーマンス評価をせず、チーム単位で評価せよ
→ 完全に個人単位でなされている仕事でもない限り、チームで行われている仕事を個人単位で評価することはインセンティブやモチベーションの分断を引き起こす。
→とはいっても報酬は個人単位で支払われる。チーム単位での評価を個人単位での評価に落とし込むところのむずかしさはどうしても残ってしまうような。
■ 報酬をインセンティブにすることなかれ
→報酬は頑張った人への結果であるべきであり、頑張らせるための手段としてはいけない。報酬がインセンティブになったとたん、従業員のモチベーションは仕事それ自体から金に変質してしまうから。
→ボーナスを目標に直結させたとたんに従業員のパフォーマンスがむしろ悪化したという実証研究があるらしい
■時給を削減しても、人件費が減るとは限らない
→人件費は、時給のみならず生産性の影響も受ける。時給を減らした結果生産性が低下して、かえって人件費が増加する事例も存在する。時給削減は人件費圧縮のための一策であることは間違いないが、生産性へのインパクトもあわせて考慮すべき。
■人件費労務費の低さは、企業のもちうる強みとしてサステナブルでない
→いつか誰かに追いつかれるのが必定(かつての日本→今の中国→今後の東南アジア…)であり、品質等、それ以外の何か別の強みを持たないと企業は長持ちしない
わかったようでわからないような、知っていたようで知らなかったような、なんとも掴みどころがない感じ。
これから少しずつ頭がこなれてくるといいのだが。
【追記】
一番印象に残った教授のセリフを度忘れしていたが、今思い出した。
師曰く、「従業員をひとつの均一的なステレオタイプで考えるのは往々にして危険」とのこと。
労働経済では、労働者を「金がすべてで、可能な限り楽をしようとする」存在であるという前提で考える理論(学派?)と、「金だけではなく、自己成長や自己充足などをも考慮して動く存在」という前提で考える理論があるらしい。
しかし、「君たちもわかっている通り、人の価値観は千差万別であり、どちらかのステレオタイプに押し込めて考えない方がいい。特に、すべての人間が金だけで動かないと考える人はわりと多いが、金を主たる価値尺度にする人だっていないわけでもないので、その考え方をベースにして何でもかんでも考えるのはやめた方がいい」ということであった。
うまく言えないが、バランス感のある言葉で好感が持てるものであった。実際に報酬システムを設計する立場になったら「んなこと言われても」って感じなのかもしれないが...