・月曜日。先輩と何気なくメールのやりとりをしていたら、今週末サンディエゴにあるトーリーパインズにてPGAツアー(Farmer Insurance Open)があることを思い出した。
旧ビュイックオープン、タイガーの例年のデビュー戦として、またこの試合でのタイガー勝率がやたら高いことで有名な試合。直近タイガーがメジャーに勝ったのもこの試合。近所で行われるNorthern Trust Openは確か参加者層がやや薄く、石川遼くらいしか注目選手が出なかったような気がするので、これは見に行かないといかんと思い急遽週末にサンディエゴ入りを決意した。
・今回は、宿は妻の提案でPricelineなるサイトを利用してみた。要はDutch Auctionの場を提供するサイト。供給サイドがビッドを出して、一番低い料金を提示した事業者が我々消費者との契約にこぎつけることができる仕組み。今回は「4つ星ホテル、70ドル」という条件で投げてみたところ、たしかに4つ星ホテルが見つかった。その後Expediaで予約したホテルを試しに検索してみると、同日にExpedia経由で宿泊しようとすると300ドルかかることがわかりびっくり。
・びっくりしてからだんだん思い出されてきたが、親日派の台湾人友人のC君、たしかこのPricelineを使ってボスキャリに行ったと言っていた。確か、土壇場も土壇場まで航空券・ホテル手配を控え、直前になりPricelineを利用して激安でボストン往復をしたと言っていた。当時は何を言っているのかピンと来ず、へーすごいねとか何とか言って聞き流してしまっていたのがここにきて明確に思い出された格好。
・たしかに、このダッチオークションというシステム、サービス供給当日が近づくにつれ供給側に
「売れ残るくらいならとにかく部屋/座席をさばきたい。ただし、値引き価格をネット上にさらすことは需給を緩ませるので避けたい」という思いが強まる一方で需要側の人数はどんどん減っていく。すなわち、きわめて需要側有利な市場構造になる。やるなぁPriceline。グルーポンには全く感動しないが、これには結構感動。
・他方、オークションをやる以上ある程度仕方ないところもあると思うが、決済まわりのルールが割と厳しい。
*応札されたなら自動的に決済になり、ホテル名を見てから取り消すこともリファンドも受け付けてくれない。
*ホテルの部屋は、一般的な部屋という整理と思うが2bedの部屋のみがオークションに出ているようだ。4人家族とかどうするんだろう。
*禁煙喫煙等、こまかい要望はオファー前にはいっさい出すことができない。落札したホテルと個別に交渉する余地は残っており実際禁煙室を確保したが、喫煙室リスクは無視できない(ヤニくさいのは勘弁)。
・しかし素人意見だが、この商売もグルーポン同様、変動費率が高い飲食業等との相性は悪いだろう。サンクコストが主要コストであるホテル/航空/レンタカー/各種サービスであればいいが、変動費主体の企業が値引きに頼ってしまうと、おせち事件のごとく価格圧縮=消費者便益の毀損となるのは避けられないからだ。
その点、Pricelineは実際のところホテルと航空券をメインとしているようで「相性の悪い業種を取り扱って問題を引き起こしてしまうリスク」を排除している。この点において、際限なくなんでも取り扱ってしまい次から次へと問題を引き起こし、いまだに問題発生リスクを排除できずにいるグルーポンと比較してPricelineのやり方ははるかに賢明であるように思われる。
・自分から見たPricelineの最大の問題点は、予定を立てづらい点にあろう。直前まで待てば安くなる、これは確かだ。しかし、出張やら事前から計画している旅行では、この「直前大値引きメリット」よりも「結局宿を確保できないリスク」の方が大きい。
値引きのために海外旅行一週間前までホテルを予約しないというのはあまりにリスキーだだ。今回のような気軽な思いつき旅行では完全にフィットするPricelineであるが、通常の旅行(それこそジャパントリップ)ではリスクプレミアムとしてExpedia料金を支払っても事前に席やら宿やらを確保しておきたい。
あるいは、Pricelineに対する自分の理解が進むにつれ、いま感じているようなリスクもやがてリスクでなくなるのかもしれないが、そしたら常時Pricelineで迷いなしになるのかも。
という感じで、サンディエゴも楽しみだし、Pricelineにも感動したし、割と楽しい月曜日であった。多少残念なのは、今週末にクラスの飲み会が(事後的に)目白押しで入ったこと。これをすべて欠席してしまうというのはあまりに勿体ない...