Monday, October 24, 2011

君子豹変せよ

月曜日。朝にミーティング→昼にリサーチについて指導教官に報告→終わり次第再びミーティング→授業→バタンキュー。


○リサーチの経過報告。話が早い先生で、こちらが用意した紙を説明しようとしたら、しゃべりだしたころには「OKわかった、それではXYZ」とテキパキと指示が。まるっきりの丸投げというほどの緩さも感じさせない一方で程よく自由にやらせてもらっている感じで(って自由研究なんだからそりゃ自由だろって感じだが)程よい刺激。アドバイスも、専門家だけに的確というか目からうろこというか。


○毎週月曜日は朝から授業が始まる16時までちんたらミーティングをしているが、毎回毎回色々学びがある。今日もひとつ反省というか痛感というかがあったのでメモ:


この授業はひたすらコールドコールされる点・その発言のクオリティが成績の3分の2を占めるという点に特徴がある。なので皆熱心に準備をするのだが、わがチームにいる女の子Jは臨機応変とかがお嫌いなようで、いつ何を聞かれてもすっと答えられるように特に熱心に準備をやりたがる。なんちゅうか役所勤務時代にたまに見かけたタイプ(※)。
(※)そうじゃない人もいっぱいいるのだが、絶滅はしてないというのが自分の所感

事前に問われていること(ケースの根幹部分)について要点を押さえるだけでは全然満足してくれず、自分にしてみれば「付随的であり、聞かれてからその場で考えればよくね?」みたいな細かい話もとにかく詰める。毎回ミーティングの実質的な部分は午後一時くらいには終わっていて、自分や他の男子メンバーは他の課題をやったり鼻くそをほじったりしているのだが、Jはひたすらケースを隅から隅まで読み返し、蛍光ペンをぐりぐりやったりエクセルをにらみまわしたり。聞かれていない点も思いついたものは全て答案に盛り込もうとして、実際コールドコールされたときには教授に「で、お前の今の話の要点はなんだったの?」と言われてしまったりしている。

自分はこのJのことを尊敬はしているがその一方でめんどくさいとも思っていた。全体的に話の軽重を全然区別してくれず、他のメンバーが地下1階にいるのにJだけ勝手に地下5階くらいから何かマニアックな質問をしてきたりするとやっぱりちょっと疲れてしまう。「それはメインイシューじゃないし、後で手が空いたときにやろうよ」と言っても、すっかり心がその細かい話に集中してしまい議論そっちのけで細かい計算に没頭してしまっていたり。仕方がないので無視して他のメンバーと議論していたら、途中いきなり「あ、できたかも」とか言ってマニアックな計算の結果を披露して(その結果話の腰を折って)みたり。「でも私、やっぱりさっきのアレもう一回議論したいんだけど」とか、「回収額が初期投資額の2倍見込めるからこの投資はGOってことはわかったわ、でも、回収額って210じゃなくって208じゃない? (GoかStopかのいずれかを選ぶだけの問題なのに)」とかがよくあるパターン。

その子が凄いけどめんどくさいという認識はまだ変わってはいないのだが、今日あったのはこんなこと:
その子がそんな調子でマニアックにかつマイペースに彼女の気になる論点を潰そうとするので、こちらはついついイラっとしてしまい、彼女がとあることを言ったときに軽く聞き流したうえで「オッケーわかった、でも210だろうが208だろうが、初期投資額の倍程度の黒字が見込まれるという結論には変わりないから気にしないで大丈夫だよ」といなしてしまった。で、いざ授業に出たら、教授が「これ重要ね」として取り上げたのがまさに彼女がこだわっていた話で、コールドコールされた自分がクリアに回答できず教授にしかめ面されてしまった(多分減点)。。。

教授にしかめ面をされるとか、減点されるとか、そういうこと自体は構わない。むしろそういう苦い経験がないと改善しようとか頑張ろうと言う気持ちも湧き出てこないので、そういうひと悶着があったのはwelcomeでさえある。ただ、では今後俺はどう改善すればいいのかと考える段で、色々下記のようなことを考えた:

・まず、そもそも、自分に、何が重要で何がそれほどでもないかを100%ばしっと見分ける力があるわけではない。
自分が重要だと思ったことだけちゃんとやっていても、「自分は重要だと思わなかったったけど実は重要なこと」を取りこぼしてしまう。重要じゃないと思われることもそれなりにケアすべき。
ミーティングのダイナミズムを保持するために事の軽重を意識し続けることは大事だが、めくらめっぽうに「それは大事だからもっと!それは大事じゃないから却下!」とやり過ぎると上記取りこぼしリスクが出やすくなるのでほどほどにする必要がある。

・仮にJが多少ズレていたとしても、彼女の話が100%ずれているわけではない。半分、下手するとそれ以上、本来であれば聞くべきである重要なことを言っているのだ。どれだけ彼女の話の運び方が下手でいらいらさせられても、耳をふさいでしまっては駄目だ。自分が損する。きっちりその半分程度の「おいしい話」は頂くべき。

・人に何かを話すときは「説明が下手だったら開始5秒で聞いてもらえなくなることを覚悟すべき」と考えて丁寧に説明すべきだが、人から何かを聞くときには「こいつの説明が下手だったら開始5秒で聞くのやめてやるぜ」では駄目だ。聞かないことによる損は大きい。

・限りある集中力や体力を傾斜配分することは要領や生産性の源泉であり、ヒューリスティックを使って「なんだかこいつの話はしょぼいな」とか「こいつアホだな」と開始5秒で仮説を立てること・その仮説に基づき聞く耳に力を入れたり耳をふさぎ気味にしたりすることは立派なスキルだと思う。しかし、耳を100%塞いでしまってはだめだ。生産性維持の観点からおおむね耳をふさぐのは有益だが、取りこぼし最小化の観点から100%耳をふさぐのは良くない。

・ズレてる人もいいことを言う。これは上記のとおり。で、彼/彼女がいいことをいったとき、いかにスパっとこれまでのスタンスを切り替えて彼の意見を積極的に聞き入れたり彼に賛意を示すことができるか。「うーんこの人ちょっとアレ」と思ったばかりにその人が良いことをいっても聞く耳持てないとか、聞くには聞くけど「渋々聞きます」みたいな雰囲気を出してしまったりとか、それで損するのは自分だ。相手に「なんだお前、態度豹変させやがって」と思われてでもいいことを言った人には全速力で態度を改めて全力で賛意を示すべきなんだろうと思う。
自分のように最初からパーフェクトに物事を片付けることができるわけではない人間は、このような豹変力を意識的に高めないといかんなぁと痛感。



○と色々授業を聞きながら反省させてもらってJには感謝している。実際、今日から豹変力を発揮してJに「さっきはすまんかったな」と言おうかとも思ったのだが、終了直前になりJに「ねえ、ここの計算ケアレスミスしてるよ。222,222なのに222,173になってるよ...」とすっごく細かい点について指摘されてすっかり頭汽車ポッポ状態になってしまい、謝罪も感謝も何もできず終わってしまった。そもそもそこの計算、君、やらずに来て自分の計算丸パクリしとりますやんか。。。