Wednesday, February 22, 2012

顔本プロスペクタス(6)

※いっこうに会計的な分析の切り口が見えてこない。とっとと数字見ないとな。。

今回は「Management Discussion」. 各種論点について定性的な記述がなされている。

構成は

・Overview
・沿革
・ユーザー計数に関するトレンド
・業績に関連する要素
・業績分析(財務諸表について丁寧に説明がある・・・別稿へ)
・株式のバリュエーション
・マーケットリスク

となっている。

■Overview、沿革、ユーザー計数、業績に関するファクター
ミッションとか、右肩上がりの2004以来の歴史とか。ファクターについてはリスク要因のところで概ねカバーされているのと同じ。

■業績

売上高
・主要構成要素は広告収入。
・直接取引、及び代理店を通じた取引が混在。
・インプレッションベースの収入と、クリックベースの収入が契約により混在。
・課金プラットフォームも整備されており、目下Zyngaのゲーム

(ウェブ広告業界プチ勉強)
・インプレッション数:webページに当該広告が表示された回数。決定要因は(1)検索ワードとの関連付け、(2)予算あたり。たとえばGoogleで「ドライバー 飛ばない」と検索して、右側にナイキのドライバーの広告が出てきたとすると、ナイキはインプレッション数が1追加となり、もし契約がインプレッション数ベースであればナイキにとって追加的な費用が発生する。
・クリック数:表示された広告のうち、実際に閲覧者によりクリックがなされた数。クリック「率」はクリック数をインプレッション数で割ることで得られる。



費用
・売上関連費用:設備関連の費用(含む償却費)及び関連人件費
・マーケティング関連費用:プロモーション費用および関連人件費。(FBのプロモーションって何だ?)
・R&D費用:R&Dは全て費用処理。及び関連人件費
・一般管理費:幹部やスタッフの人件費、コンサルや法律事務所へのフィー等。
→殆ど人件費じゃないか...?

Share-based compensation
・これまでに従業員や幹部などに対して制限株(RSU)での支払いをしたことがある。
←壁画を書いた画家の人が話題になったような
・RSUは、「支給後4年」というService Conditionか、「流動化イベントが生じたとき」というLiquidation Conditionで普通株(B株)に転換することができるようになる。
・これまで実際の株式支給実績はなかったが、今回のIPOで株式支給(受給者にとっては、待ちに待っての所得ゲット)が発生する予定。
・ついては、2011/12からRSUの費用計上を始めた(???→ついてはというか、原則、RSU支給時点で費用計上しないといけないのじゃないか...?途中で「今から計上始めます」というrationaleはなんだろ。。
・2011以降に支給するRSUは、IPOで強制的に転換できるような条項がついておらず別枠になるとのこと。

※ストックオプション(SO)とRSU

・転換価格・・・SOは特定の価格で株式を「購入する」権利であり、転換価格は例えば「支給時点での理論価値」とか、少なくともゼロではない。RSUは「株式を支給する」という概念なので、転換価格はゼロということになり、受給者の払いは一切ない。SOは転換価格を超えるように従業員に頑張るインセンティブが強まるが、RSUは、会社が倒産でもしない限り、受給者はなにがしかの価値は獲得することができる。

・vesting・・・SOはオプションであり、行使してナンボ。他方、RSUは株式の支給なので、好むと好まざるにかわらず所定の期日になったら株式が支給される。

・得てしてSOの方が支給株数が多くなる。これは、SOが「RSUよりストライクが高いオプション」と考えるとわかる。SOの方がオプションとして条件が悪いので、仮に$10Kだけ報酬を与えたいとしたら、RSUなら100個上げればいいところをSOなら200個与えないと帳尻が合わなくなる。それゆえ、RSUの方が希薄化効果が薄くなる。

・会計処理・・・vesting前においては、RSUも「K=0のコール」とみなしSOと同様に計算する。すなわち(1)BS式等により公正価値を求めて(2)vesting期間で按分する。キャッシュアウトが伴わないので、仕訳は
DR:費用 XXX CR: APIC XXX
となる。ただしFBはこれとは違う「Accelerated Method」を使っているとのことなので、詳細未確認だが、上記のような毎年均一の費用処理ではなく前半にどっかり負担が来るような計上方法をしている模様。

・繰延税金負債・・・会計上では、SOもRSUも、給付したその年から費用計上が始まる(re: 給付時点での公正価値/権利確定までの年数)。他方、税務上は、権利行使により実際に株式が支給される時点において初めて課税がなされる。それゆえ、SOやRSUの支給を行うと、会計上の費用は計上するが損金計上はできないという一時差異の状況が発生するので、繰延税金負債の計上をすることになるし、繰延前の実効税率が高くなる。FBはRSUを支給しているので、これは実効税率を上げる効果がある。




Share based compensationについて勉強しているうちに疲れてしまったので、別稿で整理する。