逃げ道が2つあって、それぞれの是非について、参謀に以下のように言われたとき、どちらを選ぶのがよいだろうか:
Q1: ルートAは100人確実に失うけど、ルートBは「半分の確率で1人も失わないが、半分の確率で200人失う」
(注:どちらの選択肢も、期待値は100人)
では、この言い方だとどうだろうか:
Q2: 100人確実に助かるルートAと、「半分の確率で生存者ゼロだが、半分の確率で200人全員生存する」ルートB
(注:Q1同様、期待値は両者共100人)
実験によると、Q1では多くの人がルートBすなわちギャンブルを選び、Q2では多くの人が100人を確実に生存させるルートAを選ぶとのこと。この傾向のことをプロスペクト理論と言う。損失に関するときは人はリスク愛好的になり、利益に関するときはリスク回避的になる。
これ、少なくとも自分には結構あてはまる。麻雀とかしても、ちょっと勝つと保守的になってしまい、負けが込むとついつい更にリスクを取った手をとってしまったり。
で、ネゴシエーション上の教訓は以下のようなもの:
・あなたが問題を「損失に関するもの」と定義するか「利益に関するもの」と定義するかにより、相手の反応を変えることができる。もし自分が参謀で、できれば指揮官にギャンブルしてもらいたいと思ったのであれば、「100人死ぬか、死者ゼロ人か200人か、どっち」という聞き方をすればよい。
・基準点をどこに置くか、恣意的に選ぶのが良い。上記の例で言えば、基準点を生存者か死者か。ここを適当にせず、欲しい反応に応じて調整するとよいということ。
現実の状況でも、リスクを取るか保守的に行くかどうしよう..という局面は少なくない。
あるいは、自分としてはリスクテイクしたいが、決定するのが自分ではなく自分の上司であり、その上司がリスクテイクに消極的である..ということは結構ある。そんなときに、赤ちょうちんで上司の愚痴を言う前に取りあえず一回だけでも、この理論にトライしてみてもいいのかもしれない。
「課長、ギャンブルすれば半分の確率で利益倍増でっせ」というのではなく、「課長、ここで保守的に行っても、年間予算の半分にも到達しませんぜ」みたいな言い方をする方がマシ、と言う感じかな。。おそらく、ここの「損失に関連付けた言い方」をうまく考えることが差のつけどころなのかもしれない。。