Friday, May 11, 2012

ネゴシエーション まとめ

0. 交渉準備

 ・そもそも、交渉してよいのか
 ・己と敵を知る
 ・ゲーム理論的発想
 ・BATNAを探す

■ そもそも、交渉していいのか

 ・交渉することで、相手が心証を損ねるリスク
 ・「そういうのは会社でやれ。家に持ち込むな」

■ 己を知り、敵を知る

 ・ 自分の目的は何か?何が最重要で、何は妥協可能か?
 ・交渉相手の目的は?

■ 交渉相手は友人ではない

 ・ 商談相手も、社内調整の相手も
 ・ 自分の利益を追求することは恥でもなんでもない。相互に自分の利益を追求した結果衝突は起きるが、それは必要なコストであり、回避するともっと厄介なことになると心得る
 ・変に遠慮してしまう方が、仕事のパートナーとしては悪印象を与えかねない。自己あるいは勤務先のために全力を尽くせない人が、一緒に組んだ時にいい仕事をしてくれるだろうか
 ・ドライにすることと、信頼関係を保つことは両立可能。妥協しないと保てない良好な関係って何?

■ ゲーム理論的発想=ナッシュ均衡

 ・ナッシュ均衡:相手がXという行動をとると仮定したら、自分ができるベストの対応は何か?
 ・数手先を読む:相手X→それに対して自分Y→相手もYに対応してZ→... 現実的には、1回か2回ほど繰り返せば十分で、繰り返し過ぎても逆効果

■ BATNA:「じゃあいいよ、●●するから」という代替案

 ・代替案があれば、「じゃあいいよ、●●するから」とできる
 ・BATNAがベターであればあるほど、不必要に妥協する必要が減るので交渉力は増す
 (例:他社からもオファーが来ているのであれば、あなたは勤務先との年俸交渉でより強気になれる)


1. 戦略レベル

■ ポーターの5 Forceとか
 ・ 買い手が自分一人で売り手が複数いたりした日には自分の交渉力は強まる。相手が談合しない限りにおいて、極限まで買いたたける(極限=いずれかのBATNAの高い方マイナス1円)例:東大理Iクラスの女子
 ・売り手が自分一人で買い手が複数いるときも同様、極限まで値段を吊り上げられる(極限=いずれかのBATNAの低い方+1円)例:車の売却
・言い換えると、(1) 他の競合が来る前に勝負を決めろ (2) 違法出ない限りにおいて談合余地を検討してもいいかもしれない。

■ パイを広げる

 ・交渉はパイの奪い合い、これは不可避
 ・しかし、何らかの協調により、パイの大きさを拡大することはできるかもしれない
 ・パイの奪い合いはガンガンやるべきだが、その前に、パイの大きさを最大化すべく協調できると両者得する

■ 複数論点をつくる

 ・パイ拡大の一策。複数論点があれば、バーター余地が生まれる
 ・一見論点は一つしかないように見えても、複数の論点が隠れていることも。隠れている論点を掘り起しバーターに持ち込む発想

■ 見解の相違は活用できる

 ・「まずは前提条件に関する相違をなくすべく交渉」みたいなことは不要
 ・見解の相違があるときは、同じ条件が自分にとっても相手にとっても+ということがありうる
 ・見解の相違を活用するためには、見解の相違を相互理解するための信頼感形成が重要

■ 情報共有と信頼

 ・情報があればあるほど有利なので、不必要に相手に情報を渡さない。相手は友人ではない
 ・他方、情報を共有することで双方が得することがある
 ・信頼関係をベースに、ひとつ与えてひとつ取ると言う形で情報共有を進めることができると良い
 ・信頼関係を築いてパイの大きさを最大化できれば、その後のパイの奪い合いが50:50にならなかったとしても両者ある程度満足できて、良き対戦相手に対する尊敬のような関係を築きうる



2. 戦術レベル

■ アンカリング(Anchoring、錨をおろす)

 ・自分が相手に「年俸は1,000万円でどうですか」と言ってしまえば、相手はゼロベースで考えることができなくなり、1,000万円が良いか悪いか、1,000万円からどのくらい価格を上げられるかという発想に陥りがちになる
 ・逆に、相手に何か最初の提示をされたとき、相手はアンカリング目的でふっかけてきている可能性があることに注意
 ・対策:相手の提示を半分無視して、自分からも提示してしまう
相手「年俸は1,000万円でどうですか」
(NG)自分「1,000万円は低い。もう少し上げてください」
(OK)自分「いえ、5,000万円でどうでしょう」


■ サンクコスト・サンクベネフィットをかきまぜる(BATNA応用)

 ・理論的には、交渉の余地があるのは、サンク部分を除いた部分に限られる。たとえば、既にCさんから「2,000万円で買います」というオファーを貰っているときに、Bさんと土地売却交渉をしたとする。このとき、仮に売却価格が3,000万円となれば、自分がBさんに売ることによって得られる追加的な利得は1,000万円であり、3,000万円ではない。2,000万円はBさんに売らなくても得られたものであり、サンク。
・この2,000万円をサンクと考えれば自分のBATNAは2,000万円となるので、仮にBさんと利得を公平にシェアするのであれば、落としどころはAvg(2,000万円、BさんのBATNA)となる。たとえばBさんのBATNAが4,000万円であれば、落としどころは3,000万円となる
・しかし、Bさんが「2,000万円がサンク?んなことあるか。お前は俺が払った分全額得するのであって、俺が払った金額マイナス2,000万円なんて知らない。なので、公平な中間地点は、3,000万円ではなく、Avg(0, 4,000万円)の2,000万円だ」と言ってきたとき、あなたはちゃんと反論できるだろうか?
・相手が2,000万円より低い金額を言って来たら断ることは簡単だが、2,000万円がサンクベネフィットで、中間値計算にあたっては考慮すべきではないとロジカルに説明しきるのは案外難しい。
・ディフェンスの観点からは、サンクベネフィットがサンクであることを説明できるようにしておく必要がある。
・オフェンスの観点からは、「まあサンクだよね」と知りつつも、一応「おい、サンクなんて知らんぞ」ということで、中間地点の落としどころを自分に有利な方向に調整できる望みがある。

■Further Reading
ハーバード流交渉術(リンク)