Tuesday, September 21, 2010

ささやかな成功体験

・本日の午前中は地元の小学校にて授業。昨日の記事にも書いたが、気合を入れて臨んだので
アメリカに来てから一番と言えるくらいの出来。生徒も喜んでくれたようで、また一緒にやったクラスメートからも型通りながらもねぎらってもらえて非常に満足している。

・結局昨日は、このブログをさらっと書き上げた後、2時間もの時間をこのイベントのために充てた。
指導要領を自分なりに整理したメモを作り、それを見ながら鏡に向かってリハーサルすること十数回。
小学5年生相手に「資源の希少性」とか「技術革新と資源」といった難しい概念を説明するためには具体例が肝だと思い、「この概念を説明を説明するためにはこの具体例」「あの概念を説明するにはあの具体例」と一つ一つ構想を練り上げていった。また、最初の切り出し(自己紹介で小ネタ)や生徒の質問への対応ぶり(聞いた話を要約して繰り返すことで理解できていることをアピールしよう、とか)等、あらゆるシチュエーションについて検討を重ね、満足できる水準になってから初めて就寝。

・で、いざ当日。テキサス出身でこれまで殆ど接点のなかったJにピックアップしてもらい、グループ4人で仲良くカープーリングで現地へ。残り2人は、これまた接点が殆どなかった女の子Jと、同じ班のJ。
Jばっかりなので以下の記事は読みにくいこと請け合い。
行きの車中は、急加速・大音量ヒップホップ・打ち解け不足等諸要因が重なりで殆ど何も喋れず。した会話といえば「おはよう」→「おはよう」と「今日はフリーウェイすいてるね」→「そうだね」くらい。

・往路で多少面食らいつつも無事現地に到着し、あれよこれよという間に授業開始。まずは紅一点のJがビジネスの基本についてレクチャー。

・ところで、Jがレクチャーをしているとき、自分はしょうもない話であるが一つ小技を試みた。すなわち、就職課のカウンセラであるDavidというオッサンの所作を真似てみた。
就職課に限らずこちらではプレゼンは大抵複数名によって行われる。よってDavidも大抵1,2名のパートナーと一緒に登場する。このDavid、パートナーがプレゼンしている最中、実に楽しそうな顔でパートナーの顔を見ながら、目を輝かせてパートナーの話を聞いている。あまりに楽しそうな顔でパートナーの説明を聞いているものだから、聴衆たる自分としてもつい「お、何か面白いのかな」とDavidのパートナーの話に耳を傾けてしまう。また、David自身に対してもエネルギッシュ・快活な印象を感じずにはいられない。
すなわち、Jがレクチャーしているとき、半ば無理やりテンションを上げ、どの小学生よりも楽しそうな顔をしてJの顔を見ながら話を聞いてみた。たまに生徒の方を向いて「どうだい君たち、これは面白いじゃないか」と言わんばかりの表情で彼らを見てみたり。勿論、合間合間にややオーバーリアクション気味のリアクションやジェスチャーも盛り込んだ。

・自分以外の3人のJがレクチャーしているときには、上記スマイル作戦のほか、積極的に雑務(紙を配る、生徒を静かにさせる、後方からサクラとして拍手をする等)もやってみた。また、各人が担当を終えた際には近づいてねぎらってみたり。こうした小技のおかげで、同級生及び生徒のレスポンスはすこぶるよくなり安堵。休み時間には打ち解けていなかったはずのテキサスJが実に気安く話しかけてきたり。小学生の女の子に「写真一緒に撮りましょう」と言われて昔の甘酸っぱい時代のことを思い起こしたりしちゃったりして(全体として甘酸っぱかっただけで、自分個人としては...嗚呼)。

・で、休み時間をはさんで最後に自分の受け持ち。「小学生にとって日本と言えばポケモンだろう」と考えて、またこちらではポケモンのことをポキモンと呼ぶとどこぞで聞いたことがあったので、「改めましてこんにちは!自分は日本、すなわちポキモンの国から来ました」とジャブ。すると「え、何?ポケモンのこと?」といった感じで皆きょとん。なんだよ、ポケモンでいいのかよ。どうせならピカチューにしておけばよかった。

・続いて、教室にアメリカでの子供番組Nickelodeonのキャラクタースポンジ君(?正式名称不明)があったので、「自分の国はピカチューやどらえもんなど実に様々なキャラクターがあるけど、うちの娘のお気に入りはこのスポンジ君です」と二の矢を放ってみたところ、無事に笑いを取ることができた。むしろMBAの同級生であるJ×3が一番笑っていた。なんだそりゃ。

・で、レクチャー。カンペを見ながらやるつもりだったのだが、休み時間の間にカンペが消息を絶つという大トラブル。仕方がないので「ええい、ままよ」とカンペなしで話を始めたが、昨日の猛練習のおかげで思いのほかスムーズにレクチャーを進めることができた。また、J3人衆が実にいい塩梅で補足説明をしてくれたことも大きかった。この補足説明、全く頼んでいなかったのにやってくれた点、かつ自分の説明に立ち入ることない謙虚さを兼ね備えた補足ぶりであった点から、非常に有難かった。

・レクチャーの後ゲームをして、最後に総括をして終了。事前準備やグループメンバーのサポートのおかげで、実にスムーズに小学生とコミュニケーションすることができた。終わったあとは小学生からは「えー、帰っちゃうの?」と名残惜しいセリフをもらい、オブザーバーに徹していた担任からもお褒めの言葉を頂き、何より班のメンバーたるJ三人組からも「やるじゃん」的なねぎらいの言葉をもらって実に嬉しかった。

・それで昼食を食べた後に車でUCLA近くのテキサス出身Jの駐車場まで向かい、そこから学校に戻った。この一日で友人として認めてもらえたようで、帰りの車中では多少ながらも話が弾んだ。各人の1分間プレゼンが頭に残っていたので「そういえば君は●●大学出身なんだよね、どうだった?UCLAと比べてどうよ」「前の仕事は▲だよね、やめる直前の景気はどうだったの」等、まずその人についての情報を知っているということを示唆して、その上でその人にまつわる話を色々聞いてみた。すると、各人とも気をよくしたようで、思いがけずレスポンスが良く、結果として距離が縮まった(気がしている)。

・今回の体験は、ささやかなものではあるけれど、いろいろな意味で自分にとって成功と言えるものだった。
まず第一に、きっちり準備を行い、きっちりアウトプットをすることができた。渡米以来過去数回やったプレゼンは「準備不足」と「当日のトチり」の悪循環で毎回ひどいプレゼンをしてしまっていた。しかし今回は、入念な準備のおかげでその悪循環に陥らずに済んだ。
大学(学部)に「極限まで手を抜いてギリギリ合格を狙う」ことが美徳とされる文化が存在していたことから、自分には「手抜き病」という病があった(と、大学のせいにしてみる)。本件がこの病気の回復のきっかけとなればいいなと思う。

・もう一つの収穫はコミュニケーション。うまく言えないのだが、David作戦や「あなたのこと知ってますよ」作戦が思いのほか効いた。「愛せよ、されば愛されん」ということかな。