Sunday, August 29, 2010

Boyz n the Hood

今更ながら、LAのダウンタウンの治安は結局どうなんだろうと思い、徒然とネットサーフィンをしてみた。ネット情報の限りでは、①夜は人通りがないのでリスクが高い②ConptonとWattsという区域が特にやばい、といったところ。

あわせて、そういった区域を題材にした映画があると知り、YouTubeで見てみた。

この映画

監督はJohn Singletonというオッサン。映画の主人公同様で、LAの貧困区域で育ったものの南カリフォルニア大学に進学した秀才。そしてそこで卒業のタイミングで発表した本作が大ヒットし、アカデミー賞にもノミネートされたというすごい人。
もちろん英語はほとんどわからなかったが(おそらくスラングが入っているからだと思うが、いつも以上にわからなかった)、話の筋をつかむことくらいはできた。

暴力の連鎖というテーマだけなら日本でもたくさんある。しかし、これに銃社会であること・父親がいる家庭の方が珍しいこと(父親は大抵若くして殺されて死ぬ)などが絡むので独自的で興味深かった。
また、主人公の父親(痩せているのでわからなかったが、この人マトリックスのあの人ゴツい人だ)が、非黒人が金融業などを通じて黒人をより経済的に苦しめていることについて批判をしていたのが興味深かった。
日本にいるときは、最低限の治安は当然に維持されていることを前提としたうえで経済がどうとか国際競争がどうとか考えていたが、それが当たり前ではない世界があるということを改めて認識。

音楽や演出も、(素人の意見ではあるけれど)抒情的で魅力的だった。北野武の映画に通じるものがあると言っていいのだろうか。90分強という時間が非常に短く感じられた。
また、同じLAでも、今自分が住んでいるWestwoodエリアとは全く雰囲気が異なることにも驚いた(が、1991年と2010年という時代の差もあるんだろう)

本筋からやや離れるが、主人公の親友が高校でのアメフトの功績を認められてUSCからスカウトを受けていた。自分は、大学に行くことは夜になったら寝るということと同じくらい当然と考えていた。もちろんそうではない人が世界にたくさんいるのであろうということくらいは想像ができるが、実感は持っていない。そのため、彼にとって大学進学が大変大きなチャンスであること、話の前提として「大学に入ることができれば、もう大丈夫だ」といった前提があるように思えたことがが興味深かった。
他方、自分は大学を出て、これから大学院に通おうとしている今になっても「これでもう大丈夫だ」とは全然思えていない。贅沢なことを言うようだが、主人公や彼の親友が抱いている希望の大きさが自分には少しうらやましかった。