Friday, October 15, 2010

オペレーションリスク

WSJ 10/15記事

証券化が進展したはいいものの、住宅ローン証券の投資家である銀行がきちんと担保管理できていないことが露呈して、ひっちゃかめっちゃかになっている、という記事。

兼ねてから「証券化の普及は、流動性向上の観点から金融的には望ましいけど、担保管理等の事務手続きはちゃんと追いついているのかしら」と疑問を持っていたがようやく合点がいった。追いついていなかったのね。。。

この事例は、オペレーションリスク(事務処理ミスによるリスク)がもたらす災厄として、きっと後世にまで語り継がれることになろう。オペリスク案件としては、いつぞやのみずほ証券の誤発注事件を超える大事件だ。

職場でリスク管理の話をするとき、個人的にはついついオペリスクの話を軽視してしまいがちだった。金利リスクや為替リスクみたいにエレガントに定量化できないので、リスク管理の対象としてどうも深刻に捉えることができずにいた(「デュレーションを計算して、それにマッチングさせるようにスワップを組む」みたいな金利・為替等のリスク管理と比較すると、オペリスクの「事務処理チェックリストにちゃんとチェックマークを入れる」等の管理策はどうしてもシリアスに取り組むことができずにいた)。しかしこういった事例を目にしてしまうと、もうオペリスクを軽視することはできないなぁ。

しかし、こういうとき、日本の銀行の一般職とかがいればよかったんじゃないかなぁ。「1円のズレも解決するまで帰れない」とされる日本の銀行オペレーション、これまでは「コスト感覚の欠如」としか思っていなかった。しかし、オペリスクのマグニチュードが大きい昨今の状況を考慮すると、一見too muchに見える銀行のオペレーションにも合理性があると言えるのかもしれない、いやでもやっぱりtoo muchだよやっぱり。

(追記)
絶妙のタイミングで、自分(達)のオペリスクが顕在化してしまった。
金曜日の24時締切の経済学の宿題、M君が出してくれたとすっかり思い込んでいたが、土曜の朝にM君から「で、宿題はちゃんと出してくれたか?」とのメール...経済学は楽勝でA+ゲットと思っていたが、しょうもないミスで撃沈。
それにしても、M君が自分に聞いてきたのでつい謝ってしまったが、100%自分が悪いわけでもないという何とも微妙な状況でどう振る舞えばよかったのだろうか。「アメリカでは交通事故をしても決してI'm Sorryと言うな」という都市伝説があるが、腰が引けた日本人の代表格のような自分はつい謝ってしまう。。