Saturday, November 12, 2011

ボストン(2)

ボストン出張2日目は終日ボストンキャリアフォーラムにて採用活動のお手伝い。

■ 自社の採用活動を本格的に手伝うのは、留学直前に続き2回目。今回の役割は
  ○  面接プロセスにおける「一匹目のザコキャラ」として、十数名の面接
  ○  ブース前での案内役(=外国人が来たときに「Native speaker only, sorry」と言う係)
の2つ。

■  かなり色々なことを考えさせられたのだが、支障なさそうなところだけ数点。なお、下記は自分個人の感想・苦悩であり、数度にわたって色々な立場の人間が面接していることから、下記の問題点は少なくとも自社の採用プロセスにおいてはほぼ克服されているものと信じている。

  ○  面接官としての自分自身のキャラ、あるいは考えを100%捨象するのは難しい。客観的に見たつもりではあるが、振り返ると多分に主観が入ってしまっているように思われる。

  ○   学歴シグナリングが難しい。海外大学で自分が聞いたことのない大学の人が来たとき、実に判断に迷わされる。高々数十分の会話だけでその人の知的水準等を推し量ることはとても難しい。日本での面接の際、いかに自分が判断にあたり学歴に頼っていたことか。

  ○   出願者の様子が日本とはまったく異なる。どこまでを「ダイバーシティ」と前向きに捉えればよくてどこから「こいつ、ずれてる」とネガティブに評価すべきなのか、けっこう難しい。といいつつも、「ボストン採用者のダイバーシティは、どの企業にとってもきっと将来の財産になるのだろう」という心証形成ができた。これまでもこれからも、既存ビジネスをしっかり回すことと同じくらい変化し続けることが企業にとって重要なんだろうと思うが、日本的採用で入った人たちだけでその変化を起こすことはけっこう大変だと思われる。

  ○   交換留学「している」人が来るのはわかるが、「していた」人が来るのはアリなのか?交換留学から帰ったころには日本の就職活動シーズンが終わっていたということ?敗者復活戦になってしまってはいないのか。

  ○  自分が人事部だったら、フォーラム出展費用・チームの出張費用等のコストをサンクコストを割り切ることができるかやや自信がない。すなわち、「来ちゃったからには内定出さないと」と思ってしまいそう。。

  ○  自分も相当人数を落としてしまったし、このフォーラム全体で何千件というDingが発生したかと思うと実に複雑な心境になる。人事部の人は十字架を背負う覚悟をして臨んでいるのかもしれないが、軽いノリでやってきてしまった自分には空気がやや重かった。

 

■   空き時間には他社のブースも冷やかす。なかなか各社性格が出ていて面白かった。

  ○   外資金融:見えやすいところに配置されているのがもっぱら外国人、とくに黒人が目立った。素人お断りのため?

  ○   某ネット検索会社:イメージそのままのカジュアルな感じ。話を聞く機会があったが、内定は出さず、交流あるいはプロモーションのために出展しているとのこと。Tシャツジーンズのお兄さんがバランスボールでぼよんぼよんしながら学生と歓談している様はなかなかキャリアフォーラム的には異色であった。

  ○   某有名コンサル:びっくりするくらい受付にいる人が普通の見た目で、外資らしさが感じられなかった。今回参加していた台湾人同級生も「米国オフィスや中国オフィスにいる人間とはずいぶん違うんだな」とぽつり。


  ○   一部日系企業:説明会を聞きかじったが、自社の歴史だけで説明時間のうち十分強を費やしているところも。社歴があるので仕方ないのだろうが、もうちょっと他の話もした方が。。。



■  本フォーラムのために、全米から自社の派遣留学生が集結。2年生は自分ともう一人、1年生は3人ほど。

  ○   留学生や人事部の人たちとの会話で痛感したが、自社の人達はじつに話が早い。彼らが優秀なのかもしれないけど、どちらかというと前提となる情報を共有していることや問題意識が似ているため話が早いだけであるようにも思われる。「やっぱ自社はええなぁ」と思う一方で、話があまりにスイスイ進むことに危機感も。普段学校やらLAの町中で経験する「共有する前提がないため、いちいちコミュニケーションに四苦八苦すること」というのも同じくらい大事な経験であり、この「話がスイスイ進む感覚」にどっぷり浸ってしまうと変化への対応力やら他社や転職者とのコミュニケーション力の弱体化がありうるのではないかと懸念。

  ○   留学間もない1年生の人々(といっても社会人的には先輩とか同期もいるのだが)の英語レベルと自分の英語レベルが殆ど変わらない。すなわち、「先に1年いた分のアドバンテージ」が見当たらなかった。ぐへぇ。。仕方がないので、英語が苦手なサポート職の後輩の前で英語を使い「あらーすごいですね」みたいなことを言われてひとり自己満足に浸るなど。。


  ○  話のことあるごとに「XX部のAさんが云々」「YYチームにいるBさんが」という話になる。しかし残念なことに、ここに来る前には最初の1年を本社で過ごした後は支店やら出向やらで本社にいたことがないので、そういった固有名詞トークは殆どわからない。組織は部署名ではなく、そこにいる人々により動いていることを強く感じた。
※しかし、俺を拾い上げてくれる人は社内にいるのか・・・?誰も俺のこと知らないような。。


■   その他感想

  ○  会場内部の食べ物が異様に高い。なんだよコーラペットボトル$3.5って。ゴルフ場でもそんなに取らないぞ。しかもホットドッグも最高にまずいし。向こう数年~十数年の仕事決めようって来ている人達に対して失礼とは思わないのか。会費とってでも、もっといいもの食べさせて元気出してあげようよ>主催者殿。

  ○   学生のスペースが少ない。壁際のコンセントや、窓際の座れる場所があっという間になくなり、皆がその辺の地べたに座っている。隙間にイスだけでも置いてあげればいいのに>主催者殿。

  ○  中国人が多いのは時代か。しかし、グローバル化だなんだというが、日本において「日本語があまり話せないが優秀な人」がより多く職を得られるようにするには何かやりようがあるのかしら。自分の非英語圏での経験がないから全然確たることを言えないのだが、受け入れ側の日本人さえもうちょっと英語が使えるようになればいいのかな?

と色々あったが、まとめるなら、ボスキャリは一生に一度参加する価値が十分にある実に面白いイベントだが、採用活動は色々考えさせられることが多過ぎるので、個人的には一度でおなか一杯だと感じた。言い方を変えるなら、このような大変なイベントに高いコストと多大な準備を費やして臨んだ学生たちのことを今は心から尊敬せざるを得ない。