米国における倒産制度についてのメモ。
■ 倒産:Chapter 7(清算)とChapter 11(再建)の2つに大別される。
■ Chapter 7
□ 適用申請できるのは借り手たる会社あるいは貸し手。貸し手は債務不履行がないと適用申請できないが、会社はちゃんと返済しながらでも適用申請することができる
□ 適用が認可され次第、Automatic Stayが発動。貸し手が勝手に債権回収することができなくなる。担保設定している貸し手は、その際に自身の担保に対する権利を主張することができる。
□ Chapter7適用申請が認可され次第、破産管財人が裁判所により指名される。管財人は会社の資産査定等を行う。同時に、裁判所が債務の特定を進める。
□ 債務の充当順位は以下の通り:
1. 担保付債務
2. 倒産後に発生した債務(オフィス家賃など)
3. 非自発的倒産により発生した債務
4. 従業員給与(倒産の90日前まで、上限$2,000/人)
5. 従業員福利厚生(倒産の180日前まで、上限$2,000/人)
6. 顧客が会社に預けていた資金
7. 税金(法人税等の未払い分)
8. その他債務(倒産後の金利は通常債務にカウントされない)
9. 株式
■ Chapter 11
□ 再建を目指すための法律だが、事後的にChapter7、すなわち破産になることも
□ Chapter7と異なり、弁護士費用等は会社資産から拠出される
□ 再建のためには倒産後にも資金調達が必要になることがあり、銀行の同意や裁判者の許可を経た上で担保設定されている現金等価物が流動化されたり、DIP(Debtor-in-possession)ファイナンスが利用されることがある
□ 倒産後120日以内に再建計画の策定が行われる。弁済順位が法により決められているChapter7と異なり、会社は弁済順位をある程度自由に調整することができる。裁判所の認可の前に、債権者は会社が策定した再建案を票決する。
□ 裁判所は、再建案が債務者に受諾されたら、あるいは多少の反対があっても、その案を認可することができる。
□ 会社は債権者に対して「Chapter7を適用していたらもらえていたであろう金額」以上の金額を支払う必要がある。そのため、裁判所は「もしさっさと資産を処分していたらいくらになっていたか」を把握する必要がある。
□ 通常は、債務返済義務がなくなることで会社に利益が生じ課税義務が発生するが、Chapter11では例外的に課税義務が発生しない。ただし、この利益(COD:Cancellation of indebtedness)により繰越損失などが相殺されなければならないと定められている。
□ 通常は、繰越損失(NOL:Net operating losses)のキャリーオーバーには制限があるが、Chapter11においてはその制限が緩和される。
□ 再建案が認可されたら、裁判所は関与をやめ、倒産前同様、当事者間によるやり取りがなされる。