■ このEntre Finで繰り替えし言われるのが、「皆が同じゲームをプレイせよ」ということ。セールスが売上高極大化のために在庫を積み上げたりすることのないように、皆が利益最大化に可能な限り直接的に貢献できるようにインセンティブ等の設計をするのが経営者の仕事であるということを口を酸っぱくして言われる。
■ このDo the same game、やや角度は異なるが、この授業のチームメイトとのやり取りで最近強く感じている。
□ チームメイト。昨年に行われた同じ授業のノートをどこからか入手して、自分の予習もそこそこにそのノートばっかり見ている模様。証拠をおさえたわけではないので確かなことは言えないのだが、ミーティングのときいつも、カンニングしてなきゃ思いつくことも難しそうなこと=授業で教授が重要論点として説明することをまるで自分の考えであるかのように言ってくる。皆が初めてプレーするはずのゴルフ場で、自分がティーグラウンドから見える情報を頼りに「右サイドは危ないな」とか言っているとき、一人だけ「ここのグリーンは奥に傾斜があるので手前に落とす必要がある」みたいなことを突然言ってくる。
□ 今日も、後になって教授が「本日のTakeaway」として紹介したとある公式を、まるで今ちょっと思いついたんだけど...みたいな顔をしてミーティングで話し始める。まだ議論を始めたばかりで、「この会社の強みはなんだ」みたいなごく導入部の議論しかしていない段階で突然「XY=WZの公式を使うとうまく理解できるかもね」みたいなことを言ってくる。なぜそう思うのか、あるいはどのようにしてそのアイディアを得たのか問い詰めても、思いついたの一点張り。
□ このミーティングの目的は提出のためのアウトプットを作ることではない。授業中の理解を深めるべく、ケースをより深く読み込むための頭の整理が主目的である。なので、論点整理をちゃんとやる前に「授業で聞かれる要点」をポンと提示されても、ケースの理解深化という目的がまったく果たされないのだ。むしろ、「授業における要点に関連する情報をケースから探し出すゲーム」みたいになってしまっており、学習効果が著しく削がれてしまっている。さんざん苦労してそれでもわからなくてもう限界...という状態にまで持っていくことで授業を最大限吸収することができるのに、「あーやっぱりあいつが言っていた論点が要点だったのね、はいはいわかったわかった」みたいになってしまい、単にクイズに正解してラッキー程度の感想しか持てずに終わってしまう。
□ 今週は、彼女が予習もせずに「XXXが重要じゃないかな」と言ってきたものの他のメンバーが「そうは思わない、むしろYYYを考えるべきだ」と反論。自分もYYYだと思い彼に同意を示す。彼女、答えはXXXだと知ってはいるものの予習していないから反論できず「じゃあYYYでいいかもね」と妥協。で、授業では案の定教授はXXXについて言及。YYYを主張した他のメンバーとか自分って一体...
□ 色々と改善のための手は打っている。「学習のためには答えを見ながらやるのではなく、たとえば議論が尽きてから参照するのでもいいではないか」とか「過去のノートを参照するのはいいが、自分の意見なのか過去のノートに書いてあることを喋っているだけなのか明確に分けてくれ」とか「俺は過去にカンニング絡みでトラブルに巻き込まれているので、トラブルは嫌だ」とか。でも、びっくりするくらい彼女は改善しようとしない。毎週毎週、答えから始まり、答えにたどり着くための情報だけを逆算的に探そうとするだけ。
□ 彼女に対しては、強く「目標のミスマッチ」を感じている。自分がこの授業に求める「理解の深化」は彼女にとって最優先事項ではないのだ。彼女にとっての優先事項は要領よくAを取ることあるいはコールドコールをうまく耐えきることにすぎず、「理解のための議論」なんてちゃんちゃらやっていられないのだ。根本的に違うゲームをやっていることから、こういった深いレベルでの理解(過去ノート参照を控えてもらう)を求めるときに対立が顕在化してしまうのだ。そしてここは会社ではないので、給料とか処遇といったツールで彼女の心を変えることができない。
□ 目的を揃える方向で努力するのか、あるいは目標が揃っていないなりになんとかかんとか協力を引き出すという発想をすべきなのか。答えは全然出ていないのだが、いずれにせよ、彼女が自分の考えであるかのように説明したアイディアを教授が一語一句ずれることなく言及したときの自分達の落胆を、なんとか彼女に理解してもらいたい。どうしたものか、本当になんとかしたいが本当に対策がわからん。